大夜逃-夜逃げ屋本舗3- [DVD]
三作目のテーマで遂に破産制度手続きの盲点と連帯保証人制度を逆手に取った古代ローマで実在した債務奴隷制度(拘禁して強制労働とピンハネで完済するまで払わせる制度。現行法ではもちろん違法で犯罪)に到達するに至った。着眼点が流石。貸金問題で高名な弁護士さんが法律監修をずっとやっておられるのですがちょっと発想が凄い。演出とシナリオも良い。本作品では完全に囲まれた違法拘禁施設からの「逃げる」行為の発想と自己破産者おのおのを嵌める手口がリアルですね。悪い奴程、法律熟知して甘言で忍び寄る。社会勉強のお手本に出来そうです。
前二作ほどの面白さはありませんがきっちり面白いのでファンの人はご安心を。
星3つ
夜逃げ屋本舗 [DVD]
夜逃げ屋=中村雅俊というくらいに結びつく配役は役者冥利に尽きるだろうが、本作の成功がなければ、続編もTV化もなかった訳で、なるほど面白いストーリーになっている。原監督は当時「あぶない刑事」で演出デビューした「新鋭」であり、もともとこの「あぶ刑事」は中村雅俊&松田優作の「俺たちの勲章」から設定を拝借(横浜の舞台や、主演の役名)したものだったので、何か縁があったのかも知れないね。ミッドナイトラン社と大帝都信販との追いかけっこ(逃がす側と追う側)は、大帝都の大竹しのぶの迫力が効いており、不良債権は1円でも取りに行くという姿勢が素晴らしい(笑)。また冒頭のミッドナイトラン社の「夜逃げテクニック」にも感心した。法律的に「隠れれば何とかなる」すき間があり、それらを細かく解説していたのも参考になった(笑)。それからもう20年も前の作品になるので、俳優陣が若い!今やワイドショーのコメンテーターの印象が強い高木美保も美しかったし、同じく気象予報士の石原良純も浮ついたニイちゃんだった。スコアがちょっとTVドラマ風だったことを除けば、全体的に良く出来た作品だと思う。DVD画質も年代を考えれば上出来のレベル。特典映像が静止画のみというのが寂しいが、まあこの年代に発売された邦画DVDにはよくあることだったので、良しとしましょう。星は3つ。