非国民 (上) (幻冬舎文庫)
今回はいちいち書き込みを過剰にするあまりちょっと変な偏りがあるように感じられるのが悲しい。
詳しく書くと内容に触れてしまうから難しいけど、警察を悪し様に書きすぎ。
ストーリー上それが必要なのかもしれないけど、別の方法を取って欲しかった。
単行本の時、オビには『森巣博の最高傑作』などと謳ってあったけど、そんなことはない。森巣博を過小評価するなよ出版社!と言いたい。
「越境者たち」の素晴らしい傑作ぶりを知ってる者にとっては物足りない。
「非国民」から森巣博に入っちゃいけない。まあ、既にファンの人は読んでおいたほうがいいけど。
越境者たち(下) (集英社文庫)
事実(ファクト)をちょうどよく織り交ぜたフィクション(ファクションと著者は呼んでいる)
で、非常にインパクトのある作品。
扱っている題材は、カシノで繰り広げられる牌九という耳慣れないゲーム。
でもそこで語られているのは、人生観、価値観、死生観など。
読み応えは十分である。
本巻では牌九の簡単なルール解説もあって、駆け引きをより楽しめる内容になっている。
二度と戻らぬ (幻冬舎文庫)
美人の雑誌編集者が中年のばくち打ちと出会い、ギャンブルの愉悦に身をゆだねる。
著者お得意の舞台設定で、またいつもの感じの話しの展開かと思っていたら、
途中から張られていた伏線が効果を現してきて、一気に読み切ってしまいました。
ある程度先が分かってからも、グイグイ引き込まれる描写にやられた感じです。
あと、いつもの森巣博を期待していたら微妙にすかされること請け合い。
もちろん「合意の略奪闘争」「死屍累々、厭になるほど死屍累々」等の森巣節は健在です。
また日本社会を茶化した(?)描写もいつも通りで、このあたりは予定調和の世界。
ただ今までとは何か違った印象を受けた作品でした。
いつもの森巣節を期待している方にはもちろん、
そろそろワンパターンで飽きてきたかな?と思われている方にもお勧めです。
ご臨終メディア ―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)
私もメディアの懲罰機関化というのは、本当に感じますね。
まるで裁判官であるかのような断罪調の番組ばかりなので、
あまり民放のニュース番組を観る気にならないんですよね。それから、視聴者の感情を代弁しようなどとも、
思ってくれないでいいです。ずれてる時もありますし。
もう少し、淡々と事実を報道すればいいのにと思います。演出過剰という気もします。
また、一点集中的な報道のしかたも気になりますね。結局、これも、「視聴者率が上がりそうな一つの話題を繰り返し繰り返し取り上げる⇒一点報道が繰り返し繰り返し行なわれる」の悪循環なのでしょうか・・・
だからといって、NHKのニュース番組や、ブログなどでのニュースならいいとも言えないですけど。それから、拉致被害者に対する世論への違和感も、同感です。そんなにみんな、家族と仲がいい人達や、家族愛を重視する人ばかりではないのになぜ?と、常々感じていました。