Unmaking the Japanese Miracle: Macroeconomic Politics, 1985-2000
比較政治学的には伝統的な歴史分析に属します。
官僚制度・政党制度、その中での政治アクターの参加・対立様式や政策決定過程を見るという意味で、制度論にかなり近いでしょう。
日本政治学的には、基本的には大蔵省を中心に、日銀・政治家・自民党のリーダー達を周辺的なアクターとしており、官僚を核とした多元主義的な理解をしているようです。
こうした理論的基盤のもとで、各アクターの行動・理念体系の変化や政策道具に着目しつつ、1985年から2000年に至る日本のマクロ経済政策を論じます。
基本的に著者は日本のマクロ経済政策を失敗と考えます。
資料としてインタビューや新聞なども多用していて、なかなか説得力もあります。
日本人でもこれほど綿密にリサーチした人はなかなかいないでしょう。
官僚割拠主義や縦割り行政の弊害といったお決まりの問題はもちろん、
日本のマクロ経済情勢、官僚制度、政党制度の変遷を見る上でも、大きく参考になる一冊でしょう。