D・W・グリフィスの嵐の孤児 <全長版> [DVD]
十数年前に澤登翠氏の活弁版をTVで観て以来、この作品は私の中でのレパートリーとなりました。フランス革命を題材にした映像作品は数多くあり、アニメ『ベルサイユのばら』等はすっかりお馴染みですが、本作はそれらの原点といってよいでしょう。絶対王政と革命後の恐怖政治の嵐に翻弄される二人の孤児を、ギッシュ姉妹は熱演しています。ロベスピエールを不寛容と独裁主義の権化、ダントンを革命の真の理想のために戦うヒーローとして描いている点等、ハリウッド的に史実を単純化している面はあるのですが、歴史とフィクションの相違など実に瑣末な事に思えるほど、画面から湧き出る迫力には圧倒されます。憎悪と不寛容が招く悲劇、愛と寛容の精神の尊さを、グリフィスは前作の「イントレランス」(1916年)を超えるほどのエネルギッシュな情熱で描いています。この映画には「史実を超える真実」があります。
「原因」と「結果」の法則2
個人的感想ですが、1(「原因と結果の法則」)の方がすべてにおいて
評価が高いです。
1を読んで、どうしても読みたい方は読むべきでしょうが、映画でも
ゲームでも、何でもそうですが、1が好評で2→3→4と発表されて
いくと質が落ちるという法則があると思うのですが、まさにそんな感じ
です。
質が悪いというのではないですよ。
当然のことながら、書いている内容は異なります。ですが、2、3と
読むのなら、1を3回読んだほうがいいのかなと思います。
東への道 [DVD]
サイレント映画の良さって、観終わって少し時間が経って思い起こすと
演者の叫び声とか悲鳴とかが頭に残っているんですよね。
リリアン・ギッシュがどんな声かっていうのは、イメージついてます。
それだけ、画的に訴える力がすごいんだと思います。
危険社会―新しい近代への道 (叢書・ウニベルシタス)
本書は、近代を鋭く分析したものである。原著の刊行年は1986年であるが、今でもその理論は古びていない。まず、本書のタイトルとなっている危険のことであるが、それはリスクのことである。つまり、行為(近代化)に伴って起こるネガティブな結果である。ベックによると、近代はその進展とともに、富の増大や技術革新を生むだけではなく、その意図せざる結果としてリスクを生み出してしまうのである。リスクの特徴は、知覚できない、制御できない、破滅的な破壊力を持ち、あらゆる概念を喪失させるというものである。ベックは近代を二分する。第一の近代(産業社会)と第二の近代(リスク社会)に。リスクの発生によって、到来するのがリスク社会(第二の近代)である。リスクが発生するのは、普遍的な近代の概念と半面的にしか近代化がおこなわれていない実際の制度体の機能との食い違いがあるからである。そこで、ベックは、近代化を徹底させることによって、リスクを克服できるとする。
この理論を現実に照らし合わすなら、原子力発電所(環境問題やテロや金融リスク等もあるが)を例に挙げればわかりやすいかもしれない。近代化の進展とともに、人類は、CO2を出さない、環境にやさしい、低コストで、安定して電力供給を行うことができる原子力発電を生み出した。しかし、チェルノブイリ原発事故、スリーマイル原発事故、福島原発事故などからわかるように、時として、それは、人間の命を一斉に奪ってしまうものに変わってしまうのである。現代はこうしたリスクが蔓延しており、まさにリスク社会なのである。
本書の構成は、こうである。第一部、リスクの社会学。第二部、個人化。第三部、科学論と政治。ベックの提示する処方箋(リスクに対しての)には疑問が残る個所もある。しかし、1986年にこれだけの分析をやってのけるのはすごいし、今の時代認識を改めるには、すぐれた一冊だと思う。
韓国併合への道 (文春新書)
本書は韓国人の視点で日本に併合されるに至った李氏朝鮮末期の問題点を
書き記したものである。当時の同国人に対する冷淡とも思える記述も、愛
国心の裏返しであろう。
この本を読んで安易に日本は悪くなかったという論拠にするのではなく、
日本人として当時の日本の問題点を考えていくことが相互理解を深める道
につながるのではないかと思った。
嫌韓派で近代史をよく知らないという人には「マンガ嫌韓流」よりも、こ
の本と、この人の「生活者の日本統治時代」を合わせて読むことをお勧め
したい。