急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
マルコム・グラッドウェルの「ティッピング・ポイント」の廉価版。
バズマーケティング、バイラルプロモーション等々、WOM(Word Of Mouth)周辺のマーケティングに対して、ネットワーク理論から切り込みを入れている名著。
この手のクチコミ関連書籍には3種類くらいあって、
1.クリエイティブ視点のバイラルプロモーション
2.PR視点のバイラルプロモーション
3.その他(ネットワーク理論、伝染病など)視点のバイラルプロモーション
本作品は「3」にポジショニングするんだけれども、その中では明らかにトップクラスの内容。
事例と原理・原則の部分が程よいバランスで含まれていて、読みやすく、わかりやすい。
この本を読んでから、上記分類「1」「2」の本を読むと大分客観的に読むことができると思います。
特に世に言う「インフルエンサー」言う概念を、
1.コネクター
2.メイヴン
3.セールスマン
という3つにカテゴライズしているのは秀逸。
正直この値段でこの内容はマストバイだと思います。
また、これからネットワーク理論に興味をもたれたら、アルバート・ラズロ・バラバシ氏の「新ネットワーク思考」を読むと、この世界にどっぷりはまれます。
「みんなの意見」は案外正しい
本書は、単に「たくさんの人が意見を寄せれば正しい答えに近づく」と書いた本ではない。
多様性、独立性、分散性が満たされて初めて正解に近づくと主張している。
実際には、これらを満たす集団はそれほど多くないように思う。
オンラインコミュニティでの議論が、極端な方向に走りがちなのはなぜか、など、むしろ「みんなの意見が正しくない」ことについての考察の方が面白いと思った。
オフコース・グレイテストヒッツ 1969-1989
懐かしくて購入しました。オフコースは、私が小学校高学年くらいのときから聴いていました。当時、意味もわからずに美しい声とメロディーが好きで聴いていました。そしてインパクトのあるサビのフレーズ。音は今の音楽と比べるとフラットな感じですが、今聞くと、それはそれで「深い・・・」という感じです。選曲については、古くからのファンの方からすると物足りない部分もありそうですが、私のように「サラっとおさらいしたい」というタイプの人にはちょうどいいかもしれません。
孤独な群衆
最近の話題作や新書に比べて評がすくないですね・・皆こういう古典はいまさら読まないのでしょうか。
本書の「伝統志向型・内面指向型・他人指向型」の類型はあまりにも有名です。そして著者はそれらをそれぞれ経済構造・人口構造の変遷にそれぞれ割り当てていることを看過してはなりません。また、著者も訳者も強調しているように、「他人指向型」をむしろ著者は積極的に評価していることも誤解されやすい論点です。
しかし、わたくしには、むしろこの有名な三類型よりも、第三部で著者が展開している、先ほどの三類型と直角に交わる「適応型・アノミー型・自律型」の三分類に着目したいと思います。それは、著者はこれについては明確に「自律型」を称揚しているからです。そしてこちらについてはほとんど解説本では言及されていないので、是非原著に当たることをお勧めします。
わたくしの個人的な興味は、今回の選挙での自民党の圧倒的勝利をこのリースマンの「理想型」(ヴェーバー、通常は理念型と訳されている)で説明ができるか、ということですが、それについてはわたくしは選挙民は「他人指向型」に当てはまる行動を取らなかったのでは、と考えます。つまり、現代日本において、このリースマンの三類型では説明できない現象が生じているので、新たなモデル作成が求められていると考えますが、いかがでしょうか。
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
「正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮するし、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。優れた集団であるためには特別に優秀な個人がリーダーである必要はない。」というのが本書のメインメッセージ。
「正しい状況下とは何か?」、「集団が直面する問題とは何か?」などの点について豊富な事例をもとに語られており、「何故今、社会で"Wisdom of Crowds"が注目されているのか?」という問いに対する直接的な答えはないが、答えを見つけるための材料が山ほど紹介されている。本書を読み解けば、「情報技術の進歩」のみがその要因でないことがわかるだろう。"Wisdom of Crowds"という考えをビジネスに活用しようとしている方には必読の書と言える。
一方で、言葉の定義が明示的にされていなかったり、第1部の各章のメイントピックが何かわかりにくかったりと、お世辞にも親切な構成とは言えない。下記の定義を事前におさえておくとより読み易くなるだろう。
<認知> 正しい答えが必ず見つかる問題
<調整> 他人の行動も加味する必要のある問題
<協調> 自己利益だけ追求すると全体の利益を損なう問題
<多様性>集団の中のそれぞれの人間が自分の私的な情報とそれに基づく意見を持っており、突飛なものも含め色々な意見がある状態
<独立性>周囲の人の意見に影響されずに集団の中の人がそれぞれ意思決定できる状態
<分散性>集団の中のそれぞれの人間がローカルで具体的な情報に基づき意思決定をする状態
<集約性>多様な情報や意見を集め、うまく集約する仕組やプロセスがある状態
下記のような方には、お勧めの一冊。
・WEB2.0などのインターネットの新しい潮流に興味のある方
・"Wisdom of Crowds"という考えをビジネスに活用しようと考えている方
・「多様性・独立性・分散性・集約性」などの考えをより深堀したい方