君の会社は五年後あるか? 最も優秀な人材が興奮する組織とは (角川oneテーマ21)
好業績のベンチャー企業経営者が情緒的観念的な「人材原理主義」に憑かれて、社員
に合理的な範疇を超えた処遇をした挙句、数年で人員整理をせざるを得なくなる。初
めてワークスアプリケーションズが「働きがいのある企業NO1」になったという記事を
見たときには、同社も「人材原理主義」に陥って道を踏み外したよくある例だろうと思い
注意を払いませんでした。
大変な認識不足でした。
「人」こそ企業のテーマだというのはドラッカーを持ち出すまでもなく企業人には周知
のことで、もしコンサルタントが書いた「あるべき論」なら今更読む価値もありません。
しかし本書は机上論などではなくワークスは「日本のクリティカルワーカーに活躍の
場を」という明確なミッションを揚げ、真に優れた人材の獲得を最優先の事業戦略に据
え、その成果を推進力にして急成長しているというのです。
今や日本で最も人気があるという異色のインターンシップ制度を始めとする「突出して
優秀な社員」を獲得するための採用制度、プロセスを重視する社風、相互多面評価制
度など採用した人材を育て活かすための人事制度や環境、更に一旦やめた社員を再度
雇用する制度、出産育児などで普通ならキャリアを中断する必要がある女性社員が継続
して活躍できる制度など、同社の「人」へのこだわりは徹底しています。まさに真っ向
からこのテーマに取り組み驚くべき真摯さでそのための施策を実施しているのです。
その一つ一つが能力経験ともに一級の経営者の熟慮から出た論理的かつ合理的な戦略の
具現化であり、現実に存在する企業の取り組みであるという凄みに戦慄さえ覚えました。
本書を読み終わってワークスアプリケーションズこそ、日本で今、最高にエキサイティ
ングな挑戦をしている企業なのだと思い知らされました。
「飛び抜けて優秀な人材」にこだわる同社の姿勢、一見「常識」を超えた同社の施策に、
反発や違和感を感じる読者も少なくないと思います。しかしこれは「ITの分野で急成
長を目指す」というワークスの特殊性を突き詰めた結果であって、一般の企業であれば
その企業の置かれた条件に合わせて必要な人材像は変わり、その人材を活かすための施
策も変わるものの、今の日本で「人」を活かせなければ企業の成長どころか存続も難し
いという一点で課題は共通しています。「人」という逃げられないテーマを直視したと
き、企業人なら誰にとってもワークスの取り組みは刺激的なはずです。
10年程度のスパンで見たとき、中国・インド市場開拓に成功すれば同社の未来は輝かし
いものがあります。しかし欧米のビジネスモデルの日本への移植から始まり、本当の意
味でイノベーションを成し遂げたわけではない同社のその先の未来は未知数でしょう。
とまれ、こんな「凄い企業」が生まれたことの意義は大きく、同社の投じた一石から生
じる波紋からは目を離せません。
リアル 10 (ヤングジャンプコミックス)
女性の読者はいないのかな・・・とがっかりされているレビューを読んで、
思わず書き込んでしまいました。
女性読者もいます。
うちでは家族全員読んでいますが、高3の娘と私(母です)で、
「リアル」の素晴らしさについて、いつも熱く語り合っています。
ご都合主義に走らず、丹念に丹念に3人の若者の生き様を追っていて、
コミックスの中に生身の肉体が息づいているようで、心が揺さぶられます。
清春があっさり車椅子バスケ界のヒーローになってしまわなくてよかった。
野宮があっさりプロバスケ選手への道を見つけてしまわなくてよかった。
高橋があっさり前向きになって車椅子バスケに興味を示さなくてよかった。
紆余曲折があり、つまづき、もがき苦しむ姿がある。それこそがリアルな生です。
トライアウト
藤岡陽子さんの本は初めて読みましたが、ものすごく引き込まれました。面白い!
小説としても素晴らしいのですが、自己啓発になるなと感じる場面も幾つかありました。
諦めなければいつまでも挑戦は続くのだと。野球ファンじゃない方でも大丈夫!ぜひ読んでもらいたい一冊。