魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道〈2〉Esperanca―エスペランサ (富士見ファンタジア文庫)
本作品を単なる恋愛+魔法モノではないとおもいます。主人公とクラスメートの高校3年という絶妙な期間を描いた青春ストーリーとして楽しめました。
この年代特有の歪みや悩み、そして成長をさわやかに(そして面白く誇張して)描いた良作と思います。青春ラブストーリーが好きだがドロドロな描画は苦手という方にお勧めです。
本書では、後半に相当する秋から冬(春の手前)までが描かれています。
舞台となる長崎、人物や関係がイキイキと描写され季節感のある文章が続きます。
主人公は一つ一つ自分の悩みや問題を解きほどいていきます。恋愛部分の表現はさらりとしていますが、自分達の未来を見つめる速さに合わせて進めていくあたりに説得力があります。
自分が抱えている闇を言い訳に恋愛へ逃避しないのです。
この物語で強調されている「成長」を遂げた主人公は、大切な人の苦しみと向き合います。魔法遣いに大切なこと、「心をこめて」遣えるために起こす行動から目を離せなくなりました。
最後の出会いは少しダメ押しでしたが、まさに主人公の背中を押すダメ押しになります。
慎重すぎるきらいがあった主人公には必要な後押しであり、今まさに巣立つ者への著者からエールのように感じました。
讃集詩
ポニーキャニンからの再デビュー後2作目のアルバムとなる本作は、アルフィーが3人組であることにひっかけてか、三銃士=讃集詩という名がついている。
アルバム全体としては、アレンジ的には前作以上にフォークソング色が強く更に時代の流行に逆行している感がする。
しかし、青春への鎮魂歌が散りばめられたこのアルバムを聞くと、それが最適な手法であったことがわかるだろう。
アルフィーのアルバムは多種多様な楽曲が詰め込まれたものが多いが、このアルバムは全体としてテーマが統一されており完成度が高く、オープニングの「やすらぎをもとめて」の圧巻のアカペラ以降、ぐっと同じ世界に引き込まれ最後まで聴ける。
また個別の曲についてもシングル曲「無言劇」の他に「明日なき暴走の果てに」「ロンサム・シティ」「ミュージシャン」と今でもステージで歌われることがある名曲が多い。
ギタープレイについて少し触れておくと、サイモン&ガーファンクルから、ペンタングル、ジム・クロウチららの楽曲の影響が垣間見られ、一方でコーラスも「帰郷」「落日の風」に代表されるように彼らが敬愛するCSN&Yバリのオープンコーラスが随所で決まっており、60、70年代のフォーク系洋楽好きならうれしくなってくるのではないだろうか。
結論を書くと、2004年にデビュー30周年を迎え、既に数多くのアルバムを世に送り出してる彼らだが、本作はその中でも5本の指に入る名盤の一つといえる。
敢えて苦言を呈すと、レコードではレコーディング風景の写真をあしらったレコード入れが同封されていたが現在発売されているCDにはそれがないことが残念である。「坂道」もスタジオで一生懸命アコースティック・ギターをプレイする彼らの写真を見ながら聞くと更に味わいが深まるのだが・・・
魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道 (5) (カドカワコミックスドラゴンJr)
これで、魔法遣いシリーズが終わると思うと、何か寂しい…
ちょっと結末が予想できていたせいか、終わったあとにあまり感動を得られなかった…
自分は、ヒロインが悩んでいる時の方が、何か共感できたと思う…
それから、ヒロインをいじめていた女の子との事が解決されてないのも、少し引っ掛かる…龍太郎の過去をバラした罪は、償わなければ…(全て解決するのも、うそ臭いが…)
それに、前ヒロインであるユメが登場したのは、良かった事であるが、一言、二言で、「答え」を知っているキャラクターに成り上がっていたのが、前作のファンとしては、かなり残念であった…(一言、二言で「答え」を知っているのは、彼女の年齢からして、傲慢というか、早熟な気がする…一緒に悩みながら、導いてゆくのなら良いが…)
ぜひ、著者の山田さんが、また、続編を作るなら、ユメを研修指導員にして、研修生であるヒロインと一緒に悩みながら、ヒロインを導いてゆくような設定の物語を書いて欲しい。
魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道 (3) (カドカワコミックスドラゴンJr)
相変わらず魔法の必要は感じられず、
とうとうカメラも出てこなくなった。
反面、各人の感情は複雑に絡み始め、
千花のレズっぷりは大爆発。
フツーの恋愛漫画としては十分面白い!
設定がまったく生かされていないという点で
☆1つ分減点した。
MY HOME TOWN
ソロになって3枚目のアルバム。内容的には前作と見劣りしないが、何故か全く売れなかった。(2位・18万枚)
前作の映画のサントラ的アルバム『sometime somewhere』(1位・66万枚)と比べると大幅に下落してるし、最新作『そうかな』(1位・58万枚)と比べても大きな差がある。
何が原因だったんだろうか。タイアップ?内容?時の流れ?
確かにヒットシングルはないが、それは『個人主義』や『そうかな』も同じである。
恐らく世間が小田から興味を失くしていたじゃないだろうか。
『Far East Cafe』はヒットシングル「Little Tokyo」もあるし、何よりソロ初作品。解散の翌年。
『sometime somewhere』は、「ラブ突」の翌年だし、メガホンを取った事で話題になった年。
『そうかな』は、「キラキラ」・『自己ベスト』による新たなファン獲得の結果。
一発屋ならともかくオフコース時代からヒットを飛ばし、ソロでも大々成功したベテランの小田にしてみれば、かなりショックだったに違いない。(前年の映画は、ボロクソに叩かれ大ゴケしてるし)
そのせいか、ツアーもせず次のオリジナルアルバムを発表するまでに7年も要している。
内容について書くと、小田流AORの集大成ともいえるべき作品。一方、近年の作風に繋がる「風の坂道」、「my home town」も聴ける。
「渚ふたりで」は元は8ビートの曲だったとか。
この作品までは飛ばすことなく聴けた。できることなら、この頃のような作品をもう一度書いて欲しい。