Nice N Greasy
クリスファーローを擁してからのATは半端ではないです。空から巨鳥が襲いかかるようなダイナミックさはパープルやツェッペリンと比較しても全くの遜色なし。クリスの最良の仕事でもありますし、無視されがちなブリティッシュロックの最高峰でもあります。是非傾聴。プラントやギランをしのぐハードロックヴォーカリストの存在を確認してください。音は定型のリフ中心のハードロックではなく、さらに凝ったダイナミックなロックですから。
Atomic Rooster
ブリティッシュロックバンド、アトミック・ルースターの1st。1970作
オルガンを中心にしたギターレスのトリオ編成ながら、
ELPのようなクラシカル志向ではなく、あくまでもハードロック、
そしてブルーズロック的な質感で聴かせるサウンド。
ドラムを叩くのは後にそのELPに加入するカール・パーマーで、
手数の多いドラミングはこのサウンドの核をになっている。
朗々とした歌声とほのぼのとしたオルガンの音色のギャップがある意味個性的で、
フルート入りの曲もあったりとプログレとハードロックの狭間を行き来する。
In Hearing of (Reis) (Dlx)
71年発表の3rd。専任ヴォ−カリストとしてピート・フレンチを迎えて4人組となって発表されており、アルバムは全英18位のヒットを記録している。メンバーはイメージ的には地味ではあるものの実際にはかなりの猛者が揃っており、楽曲の良さを含めて本作を最高傑作とする者が多い。
1.はナイスを洗練させたかのようなピアノ・ハード・ロック。ありそうで少ないピアノの低音を活かしたハード・ロックの佳曲として一聴する価値はあるだろう。ピアノとオルガンのユニゾンのソロもたまらないものがある。2.はギター主体のハード・ロックでオルガンは控えめ。中盤のメロトロンの重圧なサウンドがプログレ・ファンには聞き物。3.ピアノによるバラード調の曲。4.もモロにナイス。
一聴して分かるのはクレイン主体の鍵盤曲とカンが中心となったギター主体の曲の違い。正直なところこの両極端な音楽性はグループの魅力とメンバーの競争心を向上させていると思うのだが、当のメンバーには軋轢の結果だったのかもしれない。本作発表後クレインと他のメンバーとの音楽性の違いからクレイン以外のメンバーは全員脱退してしまい、黄金時代とも言える期間も短期間で終わってしまった。カンとハモンドは元クォーターマスのジョン・グスタフンと共にハード・スタッフを結成して本作の延長線上の作風を披露している。フレンチはボガード&アピスを擁するカクタスに参加した。