爆笑問題の風説のルール―流行と事件のアーカイブ 2005‾2006
週刊プレイボーイで連載中の爆笑問題のコーナーが、またまた単行本になりました。
漫才形式で書かれた本書は、とても読みやすく、まるで漫才を聞いているかのようです。
2005年に起きた、事件やニュースなどを題材に漫才が展開していきます。
面白く勉強にもなる、まさに一石二鳥の本です。
オランダ風説書―「鎖国」日本に語られた「世界」 (中公新書)
江戸時代の日本にあって、海外渡航は禁じられていた中、数少ない海外情報の入手経路の一つがオランダ風説書であった。本書はそのオランダ風説書の徹底的な分析から、その背景にある日本、オランダ、そして世界情勢の変遷に迫るものである。
当時の国際情勢と、江戸幕府の成立といった国内状況からオランダ風説書制度が確立し、展開する様が詳細に論じられる。俗に考えられているように江戸時代が全く世界に閉ざされた暗い社会ではなく、一定の範囲でむしろ積極的に対外政策を管理していたことが了解される。ハイライトはフランス革命からナポレオン戦争期の、オランダと日本、イギリスなどの繰り広げる丁々発止の外交戦だろうか。こうして近代化は着々と準備されたのである。
ついにはペリー来航による近代国際関係の成立により、オランダ風説書がその歴史的役割を終えるまでが本書の範囲である。ダイナミックな歴史の背景が紙上に浮かび上がる、質実剛健の一冊である。
風雪のビバーク (特選山岳名著シリーズ)
1949年、若干26歳にして槍ヶ岳・北鎌尾根に消えた天才クライマー、松濤明の死の直前まで書き綴られた最期の手記。
井上靖のベストセラー「氷壁」のモデルにもなっていたことは随分後になってから知ったが、この本を初めて読んだのは中学生の時の授業だった。
担当の教師が本格的な登山家で、授業中によく登山の話をしてくれた。ワラ半紙にこの本を印刷して配り、数日に渡っていつも以上に熱のこもった授業をしてくれたことを思い出す。
その1年後、彼はエベレストに行き登頂、無事成功し生還した後もまた中学教師を続けていたが「教師か登山か」と当時の校長に選択を迫られ、山を選び教職を去った。
(「スポーツでメシが食えるか?」別冊宝島298に当時の話が詳しく掲載されているそうだ。)
あれから十数年。たまたま本屋で見かけ、当時のことを懐かしく思いながら改めて読んだ。
-我々ガ死ンデ、死ガイハ水ニトケ、 ヤガテ海ニ入リ、魚ヲ肥ヤシ、 マタ人ノ身ヲ作ル。-
登頂記録から遭難して一転、風雪の中体力尽きたパートナーと共に死を決意し、遺書へと変わる様は余りにも壮絶で潔く、そして美しい。
「家族には申し訳ないけど結局、登山家という奴等は山で死ぬのが本望なんだ。」とその教師がよく言っていた。
同著者の「山を想う心」という随筆も機会があれば併せて読むことをお勧めするが、山男という人種は大概どうしようもなきロマンチストである。
読み物として一流。登山に興味がない人でも楽しめるので是非読んで頂きたい一冊。