仮面の男 [Blu-ray]
映画版の旧作「三銃士」「四銃士」の正統な続編ではないけれど、両作を見てから、
本作を見ると感慨深い作品です。
物語は原作ダルタニャン物語のエピソード『鉄仮面』をアレンジした内容。
三銃士が活躍したルイ十三世の治世から、息子のルイ十四世の治世に移り変わった時代。
すでに引退した伝説の三銃士は、各々の隠居生活を送っているが、
若いルイ十四世は権力と酒に酔いしれ、政務を行わず、飢えた民を虐げていた。
国の行く末を憂いた三銃士は王宮を揺るがす重大な秘密を握る仮面の男を見つけるために
行動を開始する。しかし、その前に立ちふさがったのはかつての盟友で、銃士隊の隊長となった
ダルタニアン。そして、未だルイ十四世に忠誠を誓うダルタニアンには三銃士には
話すことのできない重大な秘密があった。というストーリー。
名優たちは年老いた四銃士を見事に演じている。
仮面の男とルイ十四世。善と悪を演じたディカプリオの演技も良い。
なにより最後の突撃シーンは本当に感動する。
非常に完成度が高い作品なので、三銃士が好きな方は
Blu-rayが発売したきっかけに鑑賞することをおすすめします。
エディット・ピアフ 愛の讃歌 [Blu-ray]
フランス語の意味も分からず口ずさむシャンソンがある。その多くはピアフの作品であることを改めて知る。劇中、ピアフが「歌を生きろ!」と叱咤されるシーンがある。彼女は、歌の神に魅入られ、魂魄の全て奪われながら、歌を生き切った。凄絶なその人生が、主演マリオン・コティヤールの裂帛の名演により見事にスクリーンに甦った。心を揺さぶられる歌姫のリアルに感電する。ただ、ナチス占領下でのエピソードが何一つ描かれていないのは、やはり不自然な観は拭えなかった。
ジャック・メスリーヌの生涯――世界を震撼させた犯罪王 (ハヤカワ文庫NF)
刑務所に拘留中に書かれた過去の犯罪を中心としたその赤裸々な内容は、自身の裁判に不利に働く可能性も十分にあった。しかし、本人も社会復帰をあきらめたからこそ書いた本だともいえる。
基本は社会・体制に対する憎悪と、家族・仲間・女達への愛情で貫かれている。コントロールできない感情が渦巻く。
2部構成で、第一部は本格的な刑務所生活が始まる前のこと、第二部は収監、脱走の日々がつづられる。
特に第一部は50年代、60年代の白黒映画のようなヨーロッパの雰囲気を存分に感じさせ、上質のノワール小説のようだ。
そして当然のことながら、小説よりも生々しい。