まなざしの地獄
1968年から69年にかけて連続殺人を犯した19歳の少年(永山則夫)についての論考。
「まなざし」とは、表層的な属性(服装、持ち物、学歴、出生など)において、個人の総体を規定し、予料する、都市のまなざしである。
本書でN・Nと指示される少年は、分析対象としてはもちろん極端な存在であるけれども(永山則夫と違い、当時の、貧しい田舎から都市に働きに来た少年のほとんどは、人を殺すことはなかった)、見田の手にかかれば、その特殊性を通してこそ、われわれの生きる現在にまで妥当する普遍性がありありと浮かびあがってくる。
私が大学で経済学を学んでいたとき、しばしば教授から、"warm heart, cool head"(温かい心と、クールな頭脳)という格言をいただいたものだ。見田先生はまさに、こうした姿勢で日本社会を「まなざさ」れている。あふれる人間への慈愛と賛歌を表明し、かつ、われわれ読者――その社会の構成員――の心と思考を揺さぶるためにこそ、彼は冷徹な眼で社会を分析するのだ。
事実婚 新しい愛の形 (集英社新書)
表面的な結婚よりも、愛のある事実婚、と私も考えています。
30代になり結婚に対する漠然とした抵抗感や不安などをすっきり解明したい時期に手に取りました。
どのような覚悟をもって、どのように結婚「しない」のか考えるきっかけになりました。
知識ゼロからの哲学入門
タイトルどおり、哲学の予備知識を持たない初心者を対象にした本です。
古代から現代までの哲学者30人を、(1)人となり、(2)思想のエッセンス、そして(3)思想を役立てる、と、3つの要素から解説しています。
1人1人の略年表、影響を受けた人・与えた人、読書案内も載っていて、この1冊からさらに知識を広めることもできます。
解説が堅苦しくないので、初心者にも親しみやすく、読みやすいです。
入門書であれば、その表現方法に違いがあっても(1)・(2)についての解説は当然として、(3)に本書の特徴があるように思います。
(1)・(2)を踏まえた上で、その哲学を実生活に結びつけ、ただの知識ではなく『人間の生に役立つ「知」』とすることで、さらに理解が深まるように感じました。