グレイテスト・ヒッツ
収録されている曲はどれも名曲だ。
デイヴィッド・リー・ロスからへとサミー・ヘイガーとヴォーカルが代わったことには賛否両論があろうが、ヴァン・ヘイレンの生み出す音楽がより幅広くなったことは間違いない。
「JUMP」「UNCHAINED」といったデイヴ時代のリフが前面に押し出された曲もよいし、「DREAMS」「RIGHT NOW」のようなサミー時代のバラードも素晴らしい。
彼らの音楽は耳に残り、心に響く。
バランス
発売当時にレコード屋で1曲目のイントロ聞いて、独特なステレオ感でフェアバーンの音だと分かった。この頃はヘビメタ関係の新譜がフェアバーンとボブロックばっかりで食傷気味だった。
エディはいい音を鳴らすギタリストとして知られているが、フェンダーの新型アームのせいで、弦だけ鳴って共鳴しないような感じが気になっていた。気になる人には非常に気になってしまうギターサウンドが、エンジニアのMike Fraserによりずいぶん改善していると思う。
サミー加入後、産業ロック路線で大成功しアメリカの国民的バンドになったヴァンヘイレンであるが、このアルバムでは軌道修正を図っている。パワーポップ路線から、ブルースをベースにした古典的ハードロックへとエディの興味が移りつつあるようだ。その傾向は次作のVan Halen 3でより鮮明になるのだが、これはバランスをとった過渡的作品ということになろうか。この作品以降のヴァンヘイレンの評価が芳しくないのは、ヘヴィロックと称する重音ポップスしか理解できない耳の腐った某雑誌の悪影響が大きいと思う。
デイブのほうが上手く歌えたかと思う曲もあるが、サミーは決してブルースが歌えないただのポップシンガーではない。このアルバムであらためてサミーの芸域の広さを認識した次第。リズム隊が貧弱なこともあって、このバンドはボーカリストの楽器としての比重が高い。引き出しが多くなくては勤まらない、プレッシャーのかかる仕事を長くこなしたサミーに敬意を表したい。
バランス
エディ・ヴァンへイレン。この男は本当に希有なギタリストだと思う。
彼による彼のための彼にしか弾く事のできないギターフレーズ。
ギターを少しでも触ったことのある人、そうでない人でも、彼の表現力と演奏力の特異にして異端さ、そして素晴らしさは理解できると思う。
特にこのバランスが、俺は最高のクオリティを誇る完成度に到達していると思うのだが・・。
サミーヘイガーが古巣に戻り、その歌唱力とエディの演奏力が見事にマッチして、実にアーティスティックな作品である部分を存分に垣間見せている。
とにかく、素晴らしいアルバム。ロックファンなら必須の一枚。