原発訴訟 (岩波新書)
本書を読むと、司法はこれまでの幾多の原発訴訟で少
数の例外を除き、行政の主張をただ追認してきただけだ
ったことがよく分かります。ただし、その主張をした肝心
要めのその原子力安全委員会の委員長が、今回の福島
第一原発(以下「福島原発」)の事故直後に菅首相に「原
子炉は構造上爆発しない」と助言しているというのですか
ら、もう何をか言わんやです。
それ以前にわたしが愕然としたのは、原発がこれまで
経常的に従事労働者(それも下請け)に被曝者を発生さ
せてきていることです。東海村JCO臨界事故では、周
辺住民にまで健康被害者(住民被害者のPTSDを、宮
地尚子『環状島=トラウマの地政学』を参照しながら説
き明かしているのは勉強になりました。)を出しました。
しかし、残念ながら裁判所は、ここでも国策を優先して
被害者の叫びを抹殺しています。
著者は、自身が弁護人を務めた浜岡原発訴訟一審で
敗訴したために福島原発の悲劇を防げなかったと悔み、
この種の訴訟の改革を提案しています。また、福島原発
事故による多数の住民、労働者の被曝(この間福島原
発から大気中に放出された放射性物質は、セシウム137
に限っても広島原爆の168倍と試算されている。)を長
期間モニタリングし、健康被害を軽減化するための法的
整備も訴えています。
ライフワークとして長年原発訴訟に取り組み、その危
険性を提起してきた著者、そして津波の恐ろしさを啓発
し続けてきた『津波災害』(2010)の著者・河田惠昭さん
おふたりの予見力と誠実な姿勢に、只々恐れ入るばか
りです。
逆転裁判3 NEW Best Price!2000
蘇る〜から続くシリーズが今作で完結します。
前々作から随所にあった複線が見事に回収されているのに驚きました。
お話としてきちんと完結しています。
それだけになるほど君と真宵ちゃんのコンビが見れなくなってしまうと思うと
寂しい面もありますけれど。
今まで以上に引き込まれるストーリーです。
嬉しい前作までに登場したサブキャラクターも多数、再登場していていますし、
一気にクリアしてしまいました。
シリーズを初めてプレイされる方は、是非蘇る〜から挑戦して欲しいです。
そうすると今作の魅力を、より理解出来ると思いますよ。
逆転裁判 3 PC (説明扉付きスリムパッケージ版)
1と2は携帯サイトからアプリをダウンロードしてすでにやっており、すごく楽しかったので3も買いました(なぜパソコンソフトを買ったかと言うと、携帯サイトではまだ配信されておらず、かつアドバンスは持っていないからです)
使い心地は・・・何より、見やすいです。
パソコンと言う大画面で見る逆転は迫力も満点。
ゴドー検事の「異議あり!」の声はめちゃめちゃ低くてコワいくらい(^^;
目にも優しいので今度発売されるDS版と迷ってらっしゃる方がいましたらパソコン版をおすすめします。
そして内容について・・・これも文句なしです。
今回は第一話からかなり重要な物語になっており、これが第4話、5話とリンクしてきます。
証人となるキャラも相変わらず濃いキャラばかり。
パート2では殺害トリックに納得のいかないものもありましたが、今回は逆に「何でこんなトリックが考え付くんだろう!?」というようなとんでもないものも結構出てきて、トリックだけを比較したら3が一番おもしろいのではないかと思います。
過去に出てきたキャラも再登場します。
1と2をやってからプレイすることをおすすめします☆彡
逆転裁判 蘇る逆転 NEW Best Price!2000
ものすごく楽しめます。
わたしは第5話が好き。血痕をさがしたり指紋を採取したり。
ちなみに。夜中に指紋がうまく採れず 小一時間フーフー画面を吹いてしまい
立ち上がったら酸欠で倒れてしましました・・・
それくらい熱中しました。
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
青年を堕落させる悪しき人物として裁判にかけられたソクラテス。本書ではその裁判でのソクラテスの弁明が記述されます。デルフォイでの神託にて、ソクラテス以上の賢者はいないと言われるが、それが何故なのかと自ら問うと、どうやら賢者として名高い人たちは、知らないことを恰も知っている風に装うが、自分は何も知りはしないが、知っているとも思っていないからであった。 以降ソクラテスはこの心構えを青年であろうと老人であろうと無報酬に説いてまわる。メレトスは間違った理由で裁判を引き起こしたが、実際はソクラテスに師事を受けた者たちは、ソクラテスを応援する為に席に出たのであった。しかしながら、僅かながらの差で、ソクラテスの死刑が決まってしまう。それに対してソクラテスは、死を恐れるが為に不正をしないという信念の下、自然と結果を受け入れる・・・。
本書では、ソクラテスの執拗なまでに真理を突き詰め正義を求める徳の高さに感動しました。自らの信念の下に正しいことを言い放ち、社会的に公認されている政治家の虚偽性を暴いていく姿には共感しました。高校の時の世界史の知識だけで、ソクラテスは青年を堕落させた人物だと勝手に思い込んでいましたが、それは裁判を起こす側の公な理由付けでしかなく、事実は真逆であったということが、本書にて明らかにされ、これこそ哲学書の原書を読む醍醐味だと得した気分です。現実にも、実際に不当な理由で正しい人が悪い人として淘汰される件は良くあると思います。仮に自分がそのような立場に置かれた場合、ソクラテスのように、他者から虐げられようとも、自らの正義を貫き通せるだけの強い芯があるのであろうかと、自問される想いでした。入門書としても、繰り返し読むにも、耐える一冊です。