BOPビジネス 市場共創の戦略
Base of the Pyramid=貧困層をターゲットとするBOPビジネスの実務者、戦略を考えている人、特にマネージャーレベルの人の指針となる本。逆にいえば、初心者には基礎知識がない分、レベルが高く感じる一冊かもしれません。
各章の執筆者が異なるものの、BOPの枠組み・実例・課題、失敗例と必要な思考や戦略が繋がりを持った形で紹介、語られているため、決してバラバラに感じることなく、広い視野から意見を読む事が出来る点が本作の一つの特徴だと思う。
ステレオタイプ的な考えや戦略が、この分野では罷り通るとは限らない。そのため、固定概念や過去の方針に則るのではなく、「共に市場を創る」という物事を捉える姿勢や、「共に進化していく」といった、新たな視点を持ち続ける事が重要なのだと感じた。
本作はBOP市場にフォーカスした内容ではあるものの、成長・進化し続ける市場・分野に対して新たな試み、挑戦をするビジネスに携わる人なら、何らかの学びや大切な指針を発見できる作品だと思う。
ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
バズワードと思われがちな「ビッグデータ」を現役コンサルタントの冷静なビジネスの視点と著者のユーモアで切り取った良書です。
見た目は技術系よりのビジネス書ですが、最先端のITのトピックと一緒に、さまざまな漫談とでも言うべきおもしろ話が散りばめられており、楽しく読むことが出来ます。「Android×ブラジャー」や「プライバシー×風俗産業」などの考察が書かれている日本でも稀有の本だと思います。ビッグデータの入門書としても、これからのITの方向性を考えるうえでも、IT漫談の教科書としてもおすすめ出来ます。
BoPビジネス戦略 ―新興国・途上国市場で何が起こっているか
本書にも書かれているが、2009年は「BoPビジネス元年」と呼ばれるほど、
BoPビジネスが注目をされ,多くのメディアでBoPビジネスに関する特集が組まれた。
海外の書籍の翻訳を始め、政府の報告書をまとめた書籍などが多く出版された。
しかし、そのなかで,様々な情報が流れすぎ、
「結局何が正しいのか,何が重要なのかが,わからん!!」と思っている人は多いのではないだろうか。
本書は,その状況を非常にうまく整理している良書である。
企業向けに書かれた本ではあるものの,
企業にとってのBoPビジネスの意義(求める効果、メリット)だけではなく、
NPO/NGO、政府・国際機関、投資家、BoP層・現地の地場企業、社会全体にとって、
BoPビジネスはなぜ注目に価するものなのか,そして、そういった様々なステークホルダーが
いま世界において,そして日本において,どのような動きをしているのか、
そういったことを様々な状況を、うまく整理している。
また、この分野の書籍は、ともすれば、開発関係などの専門用語が使われ,よく理解出来ないといったことにもなりがちだが、
本書はそうなっていなく、非常にわかり易い表現で事例を用いながら,
誰でも理解できるように書かれている点も高く評価できる。
ちなみに、帯にも書かれているが、本書はBoPビジネスをプラハラード教授とともに考案した
スチュアートハート教授の推薦書でもある。
そういった意味でも,まさに、日本におけるBoPビジネスに関する入門書、
さらにはバイブルとしてふさわしい本だといえるだろう。