群青学舎 一巻 (ビームコミックス)
第二話 「とりこの姫」まで読んでもう安心。
あとは一気。
一時在庫切れになるわけだ。
感性が本調子で無いと100%楽しめない珠玉の短編集。
戸田誠二の線描をより繊細にし、
女性をもっときれいにして、
設定はぐっと等身大に、
巧みな起承転と、
意外感はないけどしんみりする結。
それを、
広義の「学舎」を舞台に、
吉野朔実のような読み取るのに高感度が要求される
登場人物の心理のざわめきを、
最低限の科白で、
情感豊に描写している、
と精一杯表現しても半分くらい・・・
「ピンク・チョコレート」と「アルベルティーナ」
が個人的には双璧。
どちらも自分の「初めての」感情に、
不器用に戸惑う群青な生徒を見事に描いてます。
Quarterly pixiv vol.07 (エンターブレインムック)
入江亜季さんのファンなので、作業工程など興味があってはじめて買いました。
しかし、工程というよりは漫画に対するスタンスなどについてのインタビューで
実際の作業などはだいぶ少なく、ちょっと残念。
漫画の描き方を特集というわりには、原稿用紙の使い方から書いてあって
正直この雑誌を買うような層には百も承知のことなのではと思われました・・・。
あと内藤泰弘さんのインタビュー記事の背景も森薫さんと入江さんの原稿を使った
デザインになっていて、それもちょっと「?」でした。
とはいえ雑誌自体がイラストなどたくさん見られてよかったです!
全体のデザインもよく、また気になる特集があったら買おうと思います。
ただ、端々で文章の稚拙さが気にかかりました。
ライターさんが書いてるわけじゃないのかな?
特にゼブラの工場レポートの文章はひどい。
乱と灰色の世界 1巻 (BEAM COMIX)
コダマの谷がほぼ同人誌作品だったというあたりから、
なみなみならぬ鬼才ぶりを存分に見せつけていたこの作家の初長編連載作品。
家族の設定がブッ飛んでいて、
しかしそれを古い日本家屋に丁寧に落としこんで書きこんでいく筆致は見事の一言。
とにかく身体の書き方がすごい!
本体は小学生の女のコが魔法の靴で美女に変身、
しかもどこで大金持ちの王子様と出会って一方的に恋に堕ちる
(落とされる)とかもう…スバラシイ!!
子供も大人もみんなそこで生きている、そこに「ある」感触はスバラシイ限り。
難度読み返しても画面の中に書きこまれている情報を読み解く楽しみにうっとりしてしまいます。
続きが楽しみであり、いっきに読むのがもったいないようであり。
まさに作者の世界にいっきに連れ込まれ、家族の生活をのぞき見しているような楽しさを味わえる、スバラシイマンガであると言えます。
表紙も裏表紙も美しい…楽しい…!!
群青学舎 四巻 (BEAM COMIX)
不可思議で優しい世界を描く入江亜季さんの『群青学舎』も4冊目で完結です。
『コダマの谷』好きとして嬉しかったのは、第二十九話と第三十話「橋の向こう側」にはライダーとマージが出ています。宿屋の客としての登場ですが、かなりメインキャラです。宿屋の息子はマージに恋してしまいます。
第三十一話「七色ピクニック」、第三十二話「七色ファミリア」、第三十三話「七色トゥモロー」は、三人の息子と美しい母親とカメラマンの父親のお話です。入江の描く女性はみんな素敵ですが、この母親はまさに私の理想でした。
第三十四話「スパイ・アンド・スパイ」、第三十五話「続々々ピンク・チョコレート」、第三十六話「完ピンク・チョコレート」についてはコメントは控えますが、どれも最高だとだけ言っておきます。
個人的に一番好きな第三十六話「老楡」は、学校が舞台の眼鏡男子と不良少年のお話です。彼らを見守る樹木の目が好きです。
そして最終話「本日はお日柄も良く」は卒業式の話です。先生が素敵です。
最終巻にふさわしく、1巻から4巻までの全てのメインキャラクター達の後日談が巻末に載っています。これだけでも買う価値があるなと思いました。
乱と灰色の世界 2巻 (ビームコミックス)
作者買いする唯一の漫画家さんです。
なんちゃって、実はこの作品の連載が始まったころから少し離れていて、今回2冊まとめて読んだんだけど。
やっぱり作品力が違う。
オールレンジなエンタメ。
たぶんだれが読んでも楽しめる。
何が好きって、ストーリーはもちろんなんだけど、なんとも雄弁な紙面そのもの。
躍動する魂。生命がはちきれんばかりにあふれていて、みずみずしくて、今にも飛び出してきそうで元気をもらえる。
群青学舎からどれだけ経つんだろう。年月を経ても失われず、残念な方向に洗練されることもない。
このスタイルが続くといい。
男性も女性も、ビジュアルは実はとっても古典的。
異性から見てなんとも魅力的に描かれている。
うるわしい曲線美、堀刻んだような鋭角、瞳を交わすだけであふれる愛情。
いいですねー恋したくなる、家族への愛を表現したくなる、そんな漫画です。
二人の乱ちゃんの恋路はるか、おーたろーの悪人ぶり、兄貴の発情期、気になることありすぎー
連載も手を出してしまいそうだー