Collection 1: The Solo Piano Recordings
今までヴラディーミル・アシュケナージばかり買っていたのですが、『マルタ・アルゲリッチ 子供と魔法』を読んでアルゲリッチのピアノが聴きたくなり、これを購入しました。
レコード時代のスリーブが再現されてて、まるで箱の中に小さなレコードが8枚詰めあわされているようなかわいいパッケージです。
どの演奏もものすごい迫力と、風のようにさっぱりと迅速に演奏され、「も、もうちょっとためて弾いてもいいのでは、アルゲリッチさん」と思ってしまうところもあります。多分、私の耳はアシュケナージとどうしても比較して聴いてしまうからです。
でも、もったいぶってためてためて弾く演奏法より、アルゲリッチの演奏は「過去に未練はない」的な、実にあとくされの無い、さわやかな奏法で、私は好きです。
特によかったのはショパンのピアノソナタ第3番ですね。バッハも毅然として素晴らしいです。
ショパン: ワルツ/パデレフスキ編 IX (日本語ライセンス版)
改訂版とあり、ISBNも新たに振られていますが、発売元のヤマハ・ミュージックメディアのサイトによると、
「ポーランド音楽出版社が制作したパデレフスキ監修によるショパン全集(通称パデレフスキ版)の日本語版。解説および注釈を邦訳し、楽譜の部分はまったく手をいれず原典をそのまま踏襲している。」
とあり、旧版 と内容は同じもののようです。以下は旧版にも書きました。
ピアニストのパデレフスキ(1860-1941)が編集した、有名な版で、長い間決定版とされてきました。
ただ刊行後半世紀以上を経過しているので、最近の研究を反映しておらず、すでに古い内容となっています。
編集も、フランス版、イギリス版等、複数の版から「いいとこ取り」をしていて、方針がはっきりしていないようです。
また印刷が荒く、譜面が読みづらいです。
遺作のワルツ18番KK4b/10、ワルツ19番KK4b/11 は未収です。
今日のショパン演奏では、エキエル編ナショナル・エディション が決定版となっています。またはエキエル版以降の研究を反映した版の方が信頼性があります。
(音友版2008年刊New edition など。ウィーン原典版は未刊)
ただし多くの名演奏の録音は、このパデレフスキ版に基づいているので、他版を見ながら演奏を聴いていると違和感を感じる向きもあるようですし、「あの名演奏と同じ演奏がしたい」という人には、今でもこちらの方がよいのかもしれません。
先生に付いて習っている方は、よく相談して選んだ方がよいでしょう。
楽聖ショパン [DVD] FRT-135
全ての人にお勧めしたい、伝記映画のお手本のような名作映画です。
脚本の構成も素晴らしく、テクニカラー撮影によるセット美術も衣装もハリウッド映画ならではの素晴らしさ。ただ、PV作品なので、古いポジフィルムからDVD化していて、オリジナルの色彩や画質が見られないのは残念です。映画会社がオリジナルフィルムから純正品を販売して欲しいのですが……。
ショパンを演じる、後の肉体派アクションスター、コーネル・ワイルドはハンガリー移民の子。子供の頃から習っていたのでしょう、ピアノの特技が見られてびっくり。
名優ポール・ムニ(教授)、マール・オペロン(ジョルジュ・サンド)、スティーブン・ベカッシー(リスト)、ニナ・フォック(コンスタンティア)と適材適所の配役。
音楽はミクロス・ローザがショパンの名曲から、誰もが知っている、聞いたことのある良いところばかりを随所にちりばめています。
主演男優賞、脚本、色彩撮影、音楽、編集、録音の6部門でアカデミー賞にノミネート。授賞は逃していますが、素晴らしい作品です。
ドラマとドキュメントの区別がつく人なら、老いも若きも、全ての人が楽しめる作品です。
川のささやき~辻井伸行サントリーホールLIVE! [DVD]
ヴァンクライバーン国際ピアノコンクールの優勝をきっかけに彼を知ることになって、優勝する前からもっと早く知りたかったと思いました。このDVDの彼の演奏は心に響くすばらしい演奏でした。とても音がクリアで洗練されていて美しく、目が見えない状態で弾いていることを微塵も感じさせない演奏がすごい圧巻。特にベートーベンの「熱情」は惹きこまれました。
アンコールで弾いた彼自身の作曲された「川のささやき」が一番心が癒されました。私にとってはクラッシック曲もオリジナル曲も全て彼の演奏は癒されました。
私は、彼のこれからの活動を期待していますが、今までの彼の演奏の良さを壊さない程度に演奏活動ができることを祈っています。彼自身の心に映る詩的なオリジナルの曲もどんどん発表してもらいたいなとこれからの新しいアルバムも楽しみにしています。
そういう点でもこの演奏DVDは必見です。