千里眼 [DVD]
前作でその不気味な存在を匂わせた正体不明の「ミドリの猿」を名乗り、日本で続発するテロ事件の謎をめぐる
「千里眼」の異名を持つ有名カウンセラーと、F16パイロットでもある女性自衛官の活躍を描く。
松岡圭祐 原作のベストセラー小説の映画化「催眠」に続く、小説「千里眼」の続編にあたるサイコスリラー。
「千里眼」シリーズは、映画化当時でも、2,3作出ていましたが、その後、現在も刊行を続けており、ヒットシリーズになっています。
ストーリー自体は「催眠」に直接関係しないので、本作だけ見ても楽しめます。
最も印象的なのが、冒頭から現れる東京湾観音(千葉県富津に実在する巨大な観音像)の効果的な使われ方。
東京湾観音に通う人々の群れが幻想的です。
米軍ミサイル制御ルームは日本映画のセットで小規模作品にしては豪華??
そして、クライマックスでいきなりカンフー対決になる展開。
日本映画では当時としてはまだまだ珍しかった?ワイヤー・アクションに水野美紀が挑戦、長身が映えます。
元刑事役で、稲葉敏郎が出て水野美紀と共演するのは「踊る大捜査線」のパロディ?
なお、原作小説ではクライマックスは、主人公岬と敵のF15による空中戦!ですがさすがにそれは別の方法に置きかえられています。
また、催眠・暗示・カウンセリングに関する専門知識などが興味深いのですが、原作にはある説明がない分、少しわかりにくいところもあります。
(高電圧線の鉄塔の下での親子のシルエットの理由などは、原作には書かれています。)
描き込みの足りなさや、話のスケールの大きさに予算が追いつかないところもあり、
突っ込みどころもたくさんありますが、当時の他の日本映画には無い「何か」があって、なぜか好きな映画です。
万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)
今回のテーマはモナリザ。超有名な名画を題材に莉子の活躍が見られます。
莉子最大のピンチ?的な状況も見られ、このシリーズのファンならかなり楽しめると思います。
正直、前作の台湾編はかなりどたばたな印象が強くてあまり好きではなかったのですが、
今作は今までどおり楽しめる内容でホッとしました。
特等添乗員αの難事件I (角川文庫)
「まんまと忍び込んだのに何も盗まない泥棒」「連絡船から消えた少女」
この謎をさらりと解いた手法は、ラテラルシンキングというよりアームチェアディテクティブの小説を読むようだった。
キャラクターが魅力的で、一気に読ませるところはさすが松岡さん。
このひとは、キャラクターの創出力が優れていると思う。
ただ、カレー港で莉子と綾菜が始めて出会うシーンがあり、これは「万能鑑定士Qの推理劇」に同じシーンがあったのを
綾菜の立場から再掲したものだが、そこで小笠原が「なぜ僕達がバスに乗ると分かったんだろう」
という疑問に解答がなかったのが不満。
でもおもしろい。
万能鑑定士Qの事件簿)ローマ数字11) (角川文庫)
松岡圭祐の万能鑑定士シリーズ第11弾。
(あらすじは商品案内にあるので省きます)
前作でいったんシリーズをまとめた感があったので、次はどうするんだろうと期待して読みました。
が、なんと言うか普通。一人ゲストがいて、主人公とは別の物語が進行していて、それが絡まって、最後には解決する。
って、これまでのシリーズで何回か見られたパターンを踏襲しているような気がします。
また「トリック暴き」に重点が置かれているのも少し気になりました。
このシリーズの醍醐味って(人によるとは思いますが)、それが本物か偽物かを見分ける主人公の「鑑定」の部分にあると思うのです。
が、この作品ではその鑑定よりもむしろ、犯人の使ったトリックをどう暴くかが中心になっています。
でも、それだと単なるミステリーでも同じ気がするのです。
いや、この作品単体ではとても面白いんですよ。
ただ、こういうのをこのシリーズでやる良さが僕にはよくわからなかったということで。
※ほか、ちょっと。
・それでも2か月に一本書き上げているペースはすさまじいなぁと思います。尊敬します。
・ところどころに入ってくるトリビア的な要素はいつも通りで面白かったです。
・最後の最後、あれを鑑定しないっていうのにはちょっと納得がいかなかったです。
・次回作ではかつてのライバルが登場するようで、いまからワクワクしています。
万能鑑定士Qの事件簿 II (角川文庫)
世はハイパーインフレーションに陥った現代日本。政治や経済は崩壊し、国民
は元より、海外からも見放される日本。そんな中、莉子や小笠原、氷室はバラ
バラながら、独自にハイパーインフレの真相に迫っていく。
相当意外な結末であった。推理しながら読まなかったので尚更。私は意外性を
感じることができたので、その点では楽しめた。クライマックスでは食い入る
ように文面を追い、想像力をフル稼働させてしまいましたね。良い意味で騙さ
れたので、ミステリのストーリーに関しては満足したというのが感想となるで
しょう。
捜査が上手くいかない展開にも好感が持てましたね。すんなり解決してしまっ
ては興ざめですから。今作では結構各キャラクター迷走している。途中で「こ
れ解決するの?」と思ったほど。その反動として、結末は結構な急転直下を迎
えるように見える。しかし、実際はそんなこともなく、伏線や材料は1巻から
既に散りばめられていたりもする。迷走しているように見えて実は真実に向か
っていたんですね。この構成力には参りました。
不満な点を挙げるとすると、1.クライマックスをもっと厚く書いて欲しかっ
たこと、2.各キャラクターの内面をもっと掘り下げて欲しかったこと、3.
犯人の計画の詳細をより明らかにして欲しかったこと、の3点。これらをマイ
ナスに評価したので☆1つ減。まあでも、これは好みの問題かなとも思う、特
に2なんかは。
相変わらず面白かったというのが、読み終わってみての率直な感想。ミステリ
好きなら手を伸ばしてみてもいいのでは。私としては、松岡先生の他の著作に
も手を伸ばしてみようと考えている。期待を裏切られることはほぼないと思う
ので。