ふしぎな島のフローネ―家族ロビンソン漂流記 (竹書房文庫―世界名作劇場)
現在の物質的に恵まれた人々がロビンソン一家のような境遇に置かれたとしたら、果たしてこの一家が「生」のために駆使した技術を実際に用いることができるであろうか。例えば、木登り、舟作り、農作業、狩り、火おこしそして家族の励ましあいなどである。現在農作業や狩りなどの仕事は分業によって行われている。したがって皆ができるとは限らない。そして日本を例に上げれば、児童虐待や家族間の会話の「非存在」など家族の連帯は揺れ動いている。
むしろ現在において物質的に満足している人々からすればロビンソン一家のサバイバル生活は非現実に見えるかもしれない。もしくは理想の家族だと見ているかもしれない。また『フローネ』はファンタジー小説であると言う人も中にはいるかもしれない。
日本などの国は科学技術の力で「より良い」生活を送れるようになった。その生活は自然とは隔絶したものである。例えば、道路はコンクリートで舗装され、山が削られてそこに家が建つなどである。この種の生活をする人々は自然との接触が少ない。そのため自然を認識することがあまりない。けれども人間はもともと自然の中で暮らしてきた。人間は自然の一部ではなかったか。そして自分たちが必要なものだけその自然の中から手に入れてきたのではなかったか。人間は自然と戦いながら、それを尊敬してきたのではなかったか。このように人間は自然とバランスよく付き合ってきたのではなかったか。
『フローネ』は、現在俗に「先進国」と呼ばれる世界に住む人々に人間と自然の関係を再考させてくれる。そして『フローネ』は「家族」の連帯ないし他者との連帯の大切さと美しさを語りかけている。
ふしぎな島のフローネ 完結版 [DVD]
私はこの物語が日曜日夜7時か7時半に放送していた時にわくわくしながら見ていました、毎週かかさず、そんな人では少し物足りなさを思えると思います、すべての放送が楽しいさや勇気、感動また発見の連続だからです。物語の中のいくつかのシールをばつすいしているだけでは、本当のフローネファンとしてはなっとくいかないでしょう。しかし、そんな中でも自然の美しさ、家族のやさしさ、強さ、父親の偉大さ、母親のやさしさが伝わるいい作品です、無人島で遭難したらこんなふうにすごしたいと思いました。絶対にいい作品なので短編のDVDもすごくほしいです。
ふしぎな島のフローネ(1) [DVD]
私はこのDVDを見ながら、自分もフローネと同じように漂流しさまざまな体験をしたような気持ちになりました。子供のころに見たアニメですが、今でも新鮮な内容です。近頃軽視されがちな父親の存在ですが、この物語では力強い父親が描かれています。子供たちを守るたくましい父親像、父親を心のそこから敬愛する理想的な子供像・・・そんな姿を現代の人々にぜひ見てもらいたいです。そして、動物や自然を愛する心、他人への思いやりの心などについて考えることができる、子供の道徳性を養うような教養ゆたかな物語であるといえます。わたしは1巻から12巻まで買いました。わくわくする、どきどきする、そして切ない・・・いろんな気持ちが味わえるそんな作品です。
ふしぎな島のフローネ(10) [DVD]
新しく島の住人となった船乗りのモートンさんと乗組員の少年タムタム。タムタムはロビンソン一家にすっかり打ち解けたが、気難しくて頑固なモートンさんはロビンソン夫妻にもそっぽを向くばかり。ところが、ある日タムタムから借りたブーメランで遊んでいたフローネとジャックは、ブーメランを高いヤシの木にひっかからせてしまう。タムタムの真似をして木に登ったフローネは、ヤシの木から降りられなくなった。そこを通りかかったのは、モートンさんだった。・・・
お酒や葉巻を吸い、仲良くなろうと懸命のロビンソン夫妻をつっぱねるモートンさんですが、この人がなかなか魅力あるキャラクターです。プロの船乗りだけあって島の状況を把握したり、タムタムに負けず劣らず島での生活の技に長けていたり、声は『サザエさん』の波平さんでおなじみの永井一郎さんで、偏屈だけど機知に富んだ船乗りを見事に演じていらっしゃいます。
世界名作劇場・完結版 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ [DVD]
この作品を全く初めて鑑賞した。テレビ版も観ていない。原作も知らない。
そして感じたのだ。今回の「完結版」は、いかにも“総集編”だと。
特に前半部分は、ナレーションが饒舌すぎる。
「そしてフランツの予感は的中したのです」
「そしてその夜、……恐ろしい出来事が降りかかってきたのです」
といった、余計な前置きが入る。どうして鑑賞者の想像に任せてくれないのだろう。どうして余情を味わわせてくれないのだろう。幼い子どもが見ても理解しやすいように、という配慮なのだろうか?
話を先へ先へと進めてしまう解説者が隣にいたら、ただ煩わしいだけである。解説するのではなく、場面々々で充分に想像を巡らせるだけの間合いを取ってほしい、そう思った。
終幕についても、えっ、これでもう終わりか、という物足りなさを感じた。
未知への期待と不安、恐怖、絶望、怠惰や憂鬱、困難の克服と、孤島での生活そのものは非常に興味深いし、その中で改めて「家族の絆」を感じさせるエピソードは感動的である。その感動の中心をどこに置くかをよく考えて編集してほしい。ばっさり切るべき部分は切っていい。残すべき部分は、しっかりと心の追体験をするだけの時間を取ってほしい。良い作品だからこそ、いっそう残念である。
真の素晴らしさを味わうためには、やはりテレビ版全50話を観ないとダメなのか……。
この『フローネ』というアニメ作品を、単なる“無人島体験ツアー”で終わらせてしまってはいけない。