梟の城 [VHS]
小説を映画化ってたいてい原作を読んでいるとその落差にがっかりしたりするがこれも例外じゃないと思う。まぁ小説を映像化するって難しいですよね。
ただ中井貴一の忍者ははまってたのでいいと思いますが。この人今度から全部忍者の役で出たら?と思うくらい似合ってた。DCカードでも忍者になっちゃったらどうでしょう?
篠田監督は別に嫌いじゃないんですが近所のレンタルビデオ屋で「監督別」のコーナーに名前が無いわけがわかった気がします。
司馬遼太郎原作 世に棲む日日 CD-ROM
司馬遼太郎の名作「世に棲む日々」をCD-ROM化したもの。
でもそれだけでなくて、松陰と晋作の年表があったり、かれらの足跡の現在を追ったり、小説は19編に分割して原田大二郎が朗読しています。しぶい!
松陰って、ものすごい秀才で、たった30歳で死ぬまでなんていろいろなことをしていた(企ててた(?))のだろうと思うと、恐れ入るばかり。晋作も短い生涯で「日本のためにできること」をやろうとしていたのがわかります。激烈な生涯です。
小説も、もちろん面白いのでよいガイドになればと思います。星5つ!
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」オリジナル・サウンドトラック 2
今日から始まった第二部「坂の上の雲」。広大なロシアが第一部より占める割合がぐっと広く、深くなり期待を持って見ました。
私にとっての圧巻は24番の森麻季さん歌う「stand aloneの日本語ヴァージョン」です。
一度聴いただけで、涙が溢れました。
サラ・ブライトマンさん歌った第一部のstand aloneも、とても良かったのですが「日本語の歌詞がついただけで、こんなに曲が胸に迫ってくるのだろうか?」と自分でも思いもかけない滂沱の涙が溢れました。
日本語歌詞の特に
「迷い悩むほど 人は強さを掴むから 夢を見る。
凛として旅立つ 一朶の雲を目指し」
のところが、メロディーとあまりにしっくり合っていて、悲しく美しい中にも、希望を抱かせてくれる。そんな感じが致しました。
あとは13番のサラ・ブライトマンさんの声とピアノが一緒になった「stand alone〜(with piano)。」オーケストラとの演奏も素敵でしたが、ピアノと一緒に聞くサラさんの声は、より透明感を増し、高い高い果てしない空に浮かぶタイトル「坂の上の雲」そのものが見えるような演奏です。
16番「律〜愛と悲しみ」。激しい自分の思いを、じっと気丈に自分の胸に畳み込んで耐える律の気持ちが伝わってくるようでした。
18番「アリアズナ」。美しいロシア女性の彼女そのものを体現するような哀しく美しい旋律。途中に入るバラライカのような音がとても可憐です。
そして23番「広瀬の最期」。これは「坂の上の雲・第二部」全てを表現しているような、雄大な交響曲なのだな、と言う風に感じました。
第二部のサウンドトラック。ことさら女性のタイトルがついた曲、また、サラ・ブライトマンさんの天空を彷徨うような声。それにまたさらなる意思的な魅力を加えた森麻季さんの声、と・・・女性を体現している曲が印象に残る。そんな感じを受けた、透明感がある数々の曲。
そして、果てしなく広大で、日本人の私たちの想像を超えた深さと重さ、重厚なロシアを思わせる数々の曲が魅力的だと思います。
改めて久石譲さんの音楽の美しさと透明感を感じられました。
きっと私の珠玉の一枚になると思っています。(^-^)
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
とにかく、のめりこんで読み進めています。
共感した言葉は、
「舟を攻めずして、人心を攻む」は「孫子」のいわゆる戦わずして敵を屈す
るのは善の善であるということと合致している。」
「世界史の上でときに民族というものが後世の想像を絶する奇跡のようなも
のを演ずることがある。」
「功労者は、勲章をやればいいのです。実務につけると、百害を生じます。」
「三十七歳の男が、日本の運命を決する海上作戦をひとりでになってゆくこ
とになったのである。」
「日本軍の基本思想は「陣地推進主義」ではなく、拠点を進めてゆくどころ
か拠点すらろくにない。兵士の肉体をすすめてゆくのである。」
です。
坂の上の雲 第3部 DVD-BOX
史実を基にした作品をNHKは得意分野にしてきました。観賞する際の注意は、制作者の創造の産物であり誇張や省略が多々あり、主張があること。
例えば、秋山兄弟は2人兄弟ではありません。好古は三男。真之は五男です。原作からドラマ化で大きくジャンプしているところも多いですし、最新の史実研究とは食い違うところも多い内容です。
史実を振り返る良い機会になった功績はとても大きく、全編に漲るパワーと人間愛の素晴らしい作品であると思います。面白いなと私が思ったのは、司馬遼太郎はこの第三部で聖将と言われ神社もある乃木希典を愚将と位置付け、描いていることです。観賞していて「乃木大将って軍神と呼ばれるような凄い人のはずだけど…」と何度も思いましたが、ほかの著作でも司馬氏ははっきり愚将と言っています。確かに日清戦争で武勲を上げ、台湾総督としてまじめに勤めて爵位を得たあたりまでで乃木のステイタスが出来上がったように思われます。日露戦争では苦悩する軍神だったのです。
秋山兄弟もあれこれ読んでみると随分違う人物像が浮かびますし、それを読み解きながら日本の来た道と行く坂道の先を考えれば良いでしょう。
第3部におけるトリビア的秋山兄弟の事実をひとつづつ紹介します。好古は風呂嫌いで日露戦争従軍時は二回しか入浴せず、猛烈に臭かったそうです。真之の最後はぼかされて終わりましたが、死因は虫垂炎の悪化による腹膜炎です。盲腸が命取りになる時代だったということですね。
全編を通して感動したのは、司馬作品の命脈ともいえる正岡子規の作品引用、秋山兄弟、乃木将軍ほか登場人物の文章引用をもらさず活用していることです。制作陣の矜持に敬服します。その才能が平和の中での思索に活かされたらとため息がでますし、自分も仕事の中で作成する文書に少しでも力ある筆をふるっていかねばと反省します。
第1部、第2部のDVD特典映像ではこれぞというものがなかったのですが、第3部こそ90へぇ〜くらいの特典が付きますように。
さて仕様ですが、DVDはステレオ収録。BDは5.1chサラウンド収録です。BDの方も特典ディスクはDVD。音声については放送がラウドネス規制に準拠しているので、レンジが狭く映画のセルソフトに比較すると戦闘シーンの迫力には劣りますし、映像のCGも敢闘賞レベルです。しかし、スタジオセット・ロケ・美術は竜馬伝に負けない作り込みがすごいです。民放の水戸黄門の数倍いや十倍?かかっていますよね。