野球にときめいて―王貞治、半生を語る
年代的に、巨人・大鵬・卵焼きの少し後なのですが、子どものころは、毎日放課後にソフトボールに明け暮れ、テレビで毎日野球中継を見ていました。
同級生でも好みの球団はいろいろありましたが、多数は読売巨人軍ジャイアンツで、私も当然のごとく巨人ファンでした。昭和40年代は、王、長嶋、高田、黒江、柴田、堀内たちを率いた川上監督がV9を達成した巨人黄金時代でした。
選手の好みは人により様々でしたが、極言すれば、王ファンか長嶋ファンかに集約されていました。
攻守に華のある派手好みの長嶋と、黙々とストイックにホームランを打ち続ける王。記録的には例えることはかなり飛躍になりますが、最近の選手で言うと新庄とイチローのようなものでしょうか。
私は、好調でも浮つかず、不調でも不機嫌にならず、一見無表情に、黙々とホームランを打ち続ける王選手のファンでした。今も、王選手の一本足打法の構えとホームランを打った後の独特のフォロースウィングが目に浮かびます。
本書は、月に1〜2度、計1年余にわたってインタビューを元に、読売新聞で2010年の春に連載された記事に加筆修正したものです。サブタイトルにあるように、「王貞治、半生を語る」内容の本です。
子どものころのこと、学校時代のこと、結婚と家庭のこと、荒川コーチとの2度の運命の出逢いと伝説にまでなっているトレーニングと一本足打法誕生のエピソード、選手時代のこと、巨人軍・ソフトバンクでの監督時代のことなど、王さんの野球人生が余すところなく語られています。
本書を読み感じるのは、プロフェッショナルにスポーツをすることのひたむきさと過酷さです。
先日読んだ「なぜ日本人は落合博満が嫌いか」(テリー伊藤著)にもまさに書かれていたように、たとえ球団に属していてもプロ野球選手は基本的に個人事業主であり、自分の野球については自分が責任のすべてをとらなければならない、監督もコーチも球団も同僚の最終的には助けにならない、そういったストイックさを持たないと生き残ることはできない、という単純な事実が偉大な王貞治の野球人生でも当たり前であったこととして、本書にも書かれています。
自分の野球を求めて、悩み、苦しみ、自分を追い続ける。寝室にバットを持ち込み、深夜でもバッティングのヒントを思いついたら、バットを振り続ける。王貞治の素振りの迫力には、声をかけることをためらわせる真剣さが漂っていたといいます。
また、そんな王選手に対して、他の選手たちも真剣勝負で王に立ち向かいます。
かつての江夏投手も王には直球勝負で向かったと書かれています。変化球で王を討ち取るようなことはしたくない、真剣勝負だ。
そうです、ここには昭和の時代の真摯な人間の生き様が書かれているのです。
それは、時代の真剣さでもあります。
こうした書を読み、「生きること」が必要としている真剣さを今一度見つめ直したいものです。
そして、かつての王選手ファンには、是非とも、一読していただきたい本です。
伝統の一戦 阪神VS巨人70年史 [DVD]
本作は阪神・巨人戦の歴史の中から名場面を選りすぐり、阪神サイドから光をあてた阪神版。私は巨人ファンだが関西で生まれ育ち、毎日阪神の記事が一面のスポーツ紙を家でとっていた。したがって、阪神の選手たちにも思い入れがある。私がプロ野球に一番熱中していたのは巨人のV9中期から長嶋巨人初期にかけて毎年のように巨人・阪神が優勝を争っていた時期である。残念ながら、戦前から江川・小林の因縁の対決の頃までは、ナレーターこそ違うけど(本作では月亭八方)巨人版と同じ映像が使われている。王の素振りの場面まで本作に入れる必要があったのだろうか。この時期で巨人版にあって阪神版にないのは王の1試合4打席連続ホームランの試合ぐらいである。私が一番思い入れのある村山・江夏・田淵の映像が阪神版にしては少ないのが物足りない。
阪神版が独自色を出すのは85年から。そのシーズンのTG第1戦、伝説のバック・スクリーン3連発の第2戦など、あの年の阪神打線の凄さを見せつける試合が次々に紹介され、最後は55号を打たれないように巨人投手陣がバースを敬遠する、巨人ファンには恥かしい場面で締めくくられる。その後、阪神は長い暗黒時代を迎えるが、92年の亀山の活躍、新庄や井川の台頭、代打八木の活躍等で巨人にサヨナラ勝ちした試合が多く収録されているので、阪神ファンは満足できるだろう。巨人版ではこの頃はホームランで勝つ試合が、阪神版ではヒットを積み重ねて勝つ試合が多く紹介されている。野村監督の時代には開花しなかったそのこつこつ野球が、星野・岡田両監督の下での優勝に結びついていく軌跡がよくわかる。
本作に登場するには、魅力ある日本プロ野球の歴史を作った阪神・巨人の名選手たちばかりである。熱い対決の伝統が今後も引き継がれることを願ってやまない。
王選手コーチ日誌 1962-1969 一本足打法誕生の極意
子供の頃に読みふけっていたもの、それは”王貞治物語”という少年向けの本。まだ王さんが現役選手時代にでていたものですが、”王選手=努力の人””努力は裏切らない”そんな気持ちを自分の心に植えつけたものです。。。
先週、本屋さんの棚にひときわ厚めのこの本が目にはいり、即購入。
”遠征の2週間で全然進歩の跡が見えずがっかりした”
まだ一流になる前からつきっきりで王さんを磨き続けた荒川コーチの日記そのものが”公開”された。
”王はよくこれを覚え、もう一歩というところまで来たのだが、あと一歩という時に少しなまけるので、またまた二歩後退する。王が私の本当の気持ちを解ってくれれば今年は三冠王は間違いないのだが、私のことを話して今年一年なのだから頑張れと言ってやりたい”
”昨日に続き、今日もバットスイングをするために家に立ち寄った。・・・王の場合は今年が三年目なので、家でのスイングはだれよりも、厳しい指導をする。王自身も当たりが出てきたので、自分のフォームを固めたいと言って、一生懸命通ってくる”
”私の目から見れば、王の技術はまだまだで、私は監督が思うほど、王を高く買わない。なぜなら、私が王を作ったのだから、私が一番王の事を良く知っている。いまの王は、本当に心から直さないと、直るものではない。大松監督ではないが、練習すればスランプはないのである”
荒川さんの心の言葉から、王さんの本当の姿が見える。。。そしてコーチと選手、その真剣なやり取りが目に浮かぶ。。。
王さんが少しやんちゃな時代から一流の選手、一流の人になっていく様子までも見えるようで、あまりにもリアルな内容に一気に読んでしまいました。
プロ野球という厳しくもある意味きらびやかで甘い誘いもたんまりあるような世界の中で、
『それでも、甘えちゃいけない、徹底してやりとおすのだ』そんな気概で荒川さんと王さんはそれぞれに葛藤を持ちながら、それぞれがひとりで、そして二人で着実に積み重ねてきた。。。
バッターとして極めよう、極める選手にしよう、そんな”男”としての姿が、心に響いてきました。
安直な気持ちではなく、”事をなすにはやはり『努力』なんだ””頑張らなきゃ!”という力ももらえると思います。パワーのあるお勧めの一冊です。
世界のBIG1 王貞治メモリアルDVD
王選手の、何が凄いて、やはり打球の速度です、テレビ中継時、どこにホームランが入ったか分からず、スロー再生で入った位置を、確認したことを、覚えています。そして何より凄かったのは、小山、外木場など、逃げずに勝負しそれを、打ち返したことでしょう。失投ではなく勝負球、多々ホームランできた人は、王だけでしょう。
熱闘!日本シリーズ 1987 西武-巨人 [DVD]
桑田(巨人)・清原(西武)のKK対決が話題を呼んだシリーズ。篠塚・クロマティら3割打者を多く並べた巨人打線に、工藤・郭ら最強投手陣が望む。
江川の最後の登板に後楽園球場最後の試合と懐かしい場面も多く出てくる。西武が優勝を決めた試合での辻(西武)の奇跡の好走塁に清原の涙・・・
中畑・篠塚(巨人)らに石毛・秋山(西武)と役者が揃い踏みした最高の日本シリーズ!!!