世界で一番優しい機械 ~SOFT MACHINE~ (EXノベルズ)
スクラップド・プリンセス、ストレイト・ジャケットと
非常に奇抜で非凡な世界観、設定を披露してきた榊一郎さんの本としては
結構大人しめになってます。
人口知能に感情が芽生える(人間に近い人口知能を作る)と色々問題があるので
法律で禁止された近未来
病院のシステムを管理する人口知能に自我が目覚め
政治的に助けない方が皆幸せという特殊な患者を助ける為に
主人公でもある医者と看護婦コンビとトリオを組んで
謎の巨大組織の政治的圧力や、送り込まれた暗殺者達と対決する・・・
なんかどっかで読んだ事のあるような話にも思えるんですけど
色々と細かい所に榊節が炸裂
文章も柔らかくお茶目なギャグも少々と
若い読者、ライトユーザー向けの読み易い小説になってます。
ハッピーエンドで、ほんのりと優しい気持ちになりたい人にうってつけですよ~
Soft Machine (Paladin Books)
「ソフトマシーン」は三部作の中では読みやすい方。といっても基本的にはわけがわからない。むちゃくちゃな文章の中に、時々、いやにカッコイイフレーズが飛び出したりするので、つい最後まで追ってしまう。
グライズ [DVD]
輸入盤で一足先に入手しましたが、おまけのDVDがびっくり。独TV番組ビート・クラブの映像でしょうが、初めて見るものでした。ロックバンドというよりも当時の最新版のジャズという感じです。ロバートワイアットもドラムで大活躍。DVDのためだけでも買うべし。
ソフト・マシーン・レガシー ザ・パリ・コンサート [DVD]
ワイド画面にDTS音声収録ドラムス凄腕デイヴ・ウェックル、ベースはトム・ケネディです。前作とは、メンバーが違うためとても楽しめます。収録曲もライブハウスで乗りの良い"Tumble Home"や"KT"に”Chatter”に"Chromazone"で
安定した演奏を聴かせてくれます。ボブのSAXもバラードでは聞かせてくれます。
ソフトマシーン (河出文庫)
この本は「カットアップ」「フォールドイン」という特殊な技法を用いて作られているらしい。
「カットアップ」とはそこらにある本や新聞を切って貼って新しい文章を作ることだ。「フォールドイン」は切るのすら止めて、紙を折って並べ替える手法。どこがどっちの方法で作られたかはよく判らない。
できた文章はたとえばこうだ。
「ゴーグルがかれのからだ燐光性の蛾をなめる、尻毛を通してオレンジの後光がペニスを包んでちらつく。眠りの中で、はだかのパナマの夜、カメラは青い静寂のなかで脈打ちオゾンが香り、ときには小部屋の壁が全部紫世界へと開く。内蔵と大便の動きのX線写真、かれのからだは透明な青魚。」
本文P158より引用
この文章を読んで面白いと思える人はどれだけいるだろうか。恐らくごく少数だろう。
ある人は必死になって意味を探し、それなりに結論を作るだろう。またある人は「ツマンナイ」の一言で読むのを止めるだろう。あるいは麻薬の幻覚症状に繋げて意味を見出す人もいるかもしれない。
この本はそうやって、読む人それぞれの感性、想像力や知識によって何色にでもなる。
元となる文章はバロウズが持ってきているので意図はあるのだろうが、それが伝わらなくて何の問題があるのだろう。
間違って受け取ったって何ら問題ない。楽しんだ者勝ちだ。