たかじんのそこまで言って委員会 超・天皇論(2枚組) [DVD]
「東京では放送しない」という路線で有名な「そこまで言って委員会」が
満を持して「天皇論」をテーマに挙げた意欲作。
これまでの放送回を見ている人ならわかるかもしれないが、
「そこまで言って委員会」の面白さの本質は、
「東京発」では実現し得ないクオリティの高さだ。
言い換えれば「地方発」だからこそ実現できたのであろう、
論客たちの自由闊達な雰囲気が、本作品の至る所から伝わってくるのだ。
もちろん、本作品のために録り下ろしした独占企画にも、
ムダな演出や”賑やかし”などは一切無く、
テーマに対して真正面から取り組んだという誠実さが伝わってくる。
本番組の仕掛人、やしきたかじん氏の天皇や皇室に対する思いと
テレビ番組づくりに対する誠実さが見事に合致したのだと思う。
本作品のキャプションにもあるとおり、天皇や皇室という存在は
「日本人ならば避けては通れないテーマ」なのだから、
東京発でも地方発でも、堂々と胸を張って取り組んでほしいし、
東京のテレビ局のほうが予算も人脈も取材先も豊富なのだから、
「そこまで言って委員会」よりも見ごたえがある「天皇論」を
展開できるはずなのだ。
しかしながら、少なくとも本作品に関しては「地方発」の方が
情報の質も量・自由度も豊富になっている現実・・・
本作品を通じて「東京発」のコンテンツの価値とは何なのか?
を考えてさせられてしまうほど、実に意欲的で面白い作品だった。
2時間でいまがわかる! 放射能の真実! (2時間でいまがわかる!)
辛抱さんのテレビ報道に対する擁護はたかじんのそこまで言って委員会などでも
よくよく拝見するところでした。
放射能に怯える一般人のこころに寄り添う姿勢をみせつつ、自己批判や政治・学者等に
対する批判も交えながら、読んでる人に『敵ではないよ』とみせかけ、結局はテレビ側・
東電・原発推進派の立場から、読者を扇動しているようにしか思えない内容に思えました。
彼がこの本でテーマにしていることは、本当に私達の不安の根底にあるテーマだと思います。
人は自分の不安を理解してくれる人には弱い。
そして、民衆の心理に長けた人(=テレビの人)にだまされていくんでしょうね…。
このアマゾンのレビューには案の定、賞賛の声。
怖いな〜と思いました。
いくつか例をあげると
・プルトニウムは飲んでも大丈夫
・(大文字の件で)不安がる人たち・騒動自体を馬鹿にした上で、
1人20ミリシーベルトくらい浴びればいい、のような記述。
・原発がもともと必要だったかという議論などは“すっとばした”上での、
継続運用と代替エネルギーへの転換話。
・3月12日時点において、保安員がメルトダウンについて発言等したことなどについてはスルー。
報道や国がそれを隠し続けたことや安全デマを垂れ流し続けたことについてもスルー。
・その上での初期の政府の避難地域対策に対するささやかな批判やフォロー。
・食物の暫定基準値に対するフォロー
・事故が人為的なミスによるものだったことに対してもスルー。
・海洋汚染について触れてはいるもののほぼ濁した状態で終わり。
・海産物に対する汚染の広がりについても同じく。
その他いろいろありますが、ためになることも交えつつ、自分達の言いたいことを言い、
都合の悪い点は見事にスルーしています。
冒頭で、原発問題に関わるそういった人たちへの批判をしているわけですが、
それを自分達が実践しています。
まず相手を安心させ、真実を交えた上で嘘を吹き込む、詐欺の基本を学べる見事な書籍だと感じました。
そういう意味では勉強になったので星5つです。
日本の恐ろしい真実 財政、年金、医療の破綻は防げるか?
前回の”日本経済の真実”が経済学者のお兄さんとの共著とは言え、このレビューでは散々な言われ様でした。
確かにあまりにも高見的な経済評論と基本的な経済学の誤解など批判される内容も一部にはあったと思います。
その点、今回の本は本旨が違うので当たり前ですが経済についての論評は抑え気味で得意の政治や日本の問題を整理し
ベテランテレビ記者らしく要旨がまとまっていてその内容は概ね納得できます。
ただ今回、私が思ったのは、“ああ、辛坊さんもついに国会(または地方議会)議員を目指す気になったんだろうなあ”という事でした。
安倍さんの“美しい国へ”や麻生さんの“とてつもない国・・”など歴代総理大臣は得てして就任前に自分の所信表明的な本を出していますが、
この本も同じ雰囲気がありました。
政治は言葉ですし、また今の課題を明確に把握し自分ではこうしたいというメッセージを国民に届ける事は大変重要です。
辛坊さんがどの様な政治家になるかは未知数ですが、少なくとも最低限政治家とし押えておくべき内容は理解されていると思います。
数合わせだけのタレント候補やスポーツ選手上がりではこういった本は出せない分、政治家としての資質はありと見ました。
(タレント候補やスポーツ選手出身でも立派な政治家になった方はたくさんいらっしゃるとは思います。
その後の政治家としての頑張りが大事だという事は言うまでもありませんが。。)
いづれにしても新しい辛坊さんに期待しています。
日本経済の不都合な真実―生き残り7つの提言
最近マスコミでは、高橋洋一氏、岸 博幸氏、森永卓郎氏らによる、国債が増えてもさしたる問題ではないとか、政府が通貨を発行して景気刺激せよとか、日銀に直接国債を引き受けさせよ、といった財政出動による景気浮揚論が目立つが、本書は彼らを厳しく批判し、国債のこれ以上の発行は危険、という立場をとっている。
日本の置かれている現状についての認識は、雇用問題にしても、官僚問題にしても正鵠を射ていると思うが、処方箋としては理想論すぎて、とても実現できそうにない。労働組合や官僚組織を解体するなど革命でも起きなければ不可能だ。出来上がってしまった構造は内部からはもはや壊せない。
やろうと思えばすぐにでもできる、という意味では50兆円の政府通貨を発行して国民全員に配る、という案のほうが処方箋としては使える。劇薬で国が死にかけるかもしれないが、IMFの管理下に入るくらいの国家の一大事になってはじめて、労組も官僚組織も解体が可能になる。とすればそれもまた日本の再生に向けた道のひとつなのかもしれないと感じた。思えば明治維新もきっかけは外圧であった。
マクロ経済の教科書的解説で理解は進みやすい。が、全体としてみると教室での議論というか、現場的リアリティにかけるというか、総じて退屈である。悪い本ではないが、読んで面白いという意味では大前健一のお金の流れが変わった! (PHP新書)のほうをお勧めする。