シネマ・ハント (Eブックス・映画)
タイトルを見ると批判的な批評ばかりのようだが、実際はそうでなくフェアな内容だと思う。大作だけではなく佳作も多く含まれているので、この本を読んだあと見ようと決めた作品が少なくとも10作品はあった。
ネタバレとかの無いようにあまりストーリーを細かく紹介しないで、監督が目指そうとした方向や撮影技術などに焦点があてられていて面白い。町山氏の評論と比べられているようだけれど、タッチはかなり違う。町山氏のは、もっと庶民的でわかりやすく、そして自分のアメリカ生活の実体験がリンクしているのに対して、本書の柳下氏のは、もっと格調高いタッチで映画文化を独自の考察で論じている。個人的には町山氏のほうが好きで、ちょっと本書の柳下氏の話を読んでると「本当にそんなに映画がわかってるつもり?」と聞いてみたくなる気もする。
いずれにせよ、これだけ映画をちゃんと紹介してくれる本は数少なく、自分の映画趣味にはずいぶん助けとなったので感謝の意を表したい。
スパイダーマンTM3 デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) (初回限定豪華アウターケース付) [DVD]
青春期の主人公がクモの遺伝子をとりこんでスーパーヒーローになるが、友情や恋愛などの葛藤を胸に秘めながら敵を倒す人気コミックの実写映画版3作目。宇宙から飛来したヴェノム、不死身のサンドマン、ニューゴブリンが登場。
今回のテーマは、過去の過ちや人間としての不完全さを互いに許容すること、と思われる。が、2時間20分は少し長過ぎて、個人的にはだらけてしまった。数多い登場人物の背景を説明すると同時に、アクション映画に青春映画の要素を対等に盛り込んでしまったために、このような時間になったようだが、エピソードが多すぎるように感じた。アクションの合間に少しだけ教訓を織り込むような単純な内容の方がすっきりすると思う。無理に文学的要素を入れたい気も理解できるが、もともと娯楽漫画なんだし。また、制作者が各登場人物に思い入れがあるせいか、個々のシーンが長過ぎるように感じた。大家さんやその娘とのやりとりなどは、カットしてもよさそう。
個人的には『大いなる力には大いなる責任が伴う』という1作目のテーマが好きで、CGやアクションは2作目が好きだった。ドク・オクの機械部分のCGよりサンドマンのCGの方が難しいとは思うが、少し質も落ちたかなと感じる。ヴェノムのCGはすごい。特典映像のためにDVDも購入したところ、CGだと思っていた部分が実写だったりして面白かった。また、世界各国のTVスポットが収録されており、海外の方が日本と比べてインパクトは大きい。特典映像で見直した点も多く、評価は迷ったが、1-2作がよかっただけに敢えて厳しめに評価して星3つ。
ヒデタ樹 スーパー・ベスト~海のトリトン/人造人間キカイダー~
たぶん1/f ゆらぎとかそういう世界なんだろうけど、単に歌唱力があるという言葉ではくくれない声の微妙なゆらぎが、楽曲に緊張感を与えている。ヒーローもので強さだけではない哀愁を織り込んでくる歌唱はヒデタ樹独自の世界だった気がする。