ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫)
善と悪という人間の二面性について、鋭く切り込んだ一冊。
悪も善も、元々どちらも人の一部であり、その人を構成するものであり、人を人たらしめる大切な要素である。ジキル博士のように悪のみを(あるいは善のみを)切り離すことの、片方を下げずむことの、敵視することの危険性が、というか非実現性について考えさせられる1冊だった。結局のところ、善が悪を受け入れ(あるいは悪が善を受け入れ)、うまく折り合って生きていく必要がある。適度に中庸に、そして適当に。多くの人々は、それを当然のごとく受け入れているし、過去の人々も当然のごとくそれを受け入れてきた。
一方で、善か悪どちらかに真っ当に生きる人々がいる。ある意味で潔く、ジキル博士のように善のみで生きるのであれば、それこそ人間の模範ともいうべきものである。けれども同時にそうしたものの影では何か欲望というものが、それに対する憧れというのが、着々と育っていくと思うと、何かやり切れない気持ちになる。
ジキル博士に足りなかったものは、ハイドをジキル博士の中で生きさせる、彼を受け入れさせる余裕だろう。それを指摘するのは普通のことなのかも知れない、けれどもそれを普通のことと言わざるを得ない人間の「性質」について、悲しさを感じるのは私だけだろうか。
瑠璃色のステンドグラス (光文社文庫)
爽香は大学4年生になりましたが、卒論や就職活動よりもバイトと妙な事件にかかりきりです。作家の五十嵐は妊娠した婚約者を一方的に捨て、かつて共に心中を図った女の妹に近づきます。何でも母親が上手くやってくれることに甘えて大人になり切れてないというのがどれだけみっともないかを見せつけられます。しっかりと成長している爽香と比べてだらしなさが際立ちます。当然の末路に胸がすく思いがします。価値があるということ、本当に強い人間とはどういうことなのかが伝わるような作品です。
ソルボらく楽コンフォートマット グレー
薄いのにおしりにやさしいです。
ビックリするくらいおしりをサポートしてくれます。後ろに滑り止めがついてて、ずれないのも○です。
星4つは、ちょっと値段が高いので。
海と毒薬 (新潮文庫)
勝呂は米軍捕虜の生体実験に参加する。
なにか大きな抗えぬ力に押し流されるように。
こうしたことは誰の人生でも幾度かは経験することではないでしょうか。
友人や、会社がこうした「力」になることは間々あります。
そのとき、わたしたちは抗うことができるんでしょうか。
好きな作家である遠藤周作作品の中でも好きな一冊です。