『ミラル』予告
映画紹介はシーツーWEB版 www.riverbook.com 愛を伝えること、自由を伝えること、そして希望をつないでいくこと――。親から子へ、教師から生徒へ、平和を望むすべての人々に向けた真実のメッセージ。ミラル』は、『バスキア』『夜になるまえに』『潜水服は蝶の夢を見る』で多くの映画ファンを魅了してきたジュリアン・シュナーベル監督の最新作。
実父が出奔し極貧に育つが、カストロ率いる革命政府の奨学金で学問を学ぶ。
しかしその救いの政府は、アレナスの同性愛嗜好を理由に迫害に転ずる。
マチズムに囚われた政府当局に何度も牢獄にぶちこまれながらも、
あらゆる「途方もない性的冒険」を繰り返しつつ逃げ延びるアレナス。
そうした逃亡生活でも「夜になる前に」公園の茂みで書き綴らねばならない。
いいようのない悲哀。だがそこには豊かで強靭なユーモアがある。
あまりにも純粋な性=生への渇望。だから生き続けられる。
マリエル港事件で難民のうねりとともに米国に逃れはした。
しかし「自由の国」にアレナスの求める自由は果たして存在したのか。
最も憎んだ父=フィデルが統べる祖国。
離れて味わうキューバ的性=生の喪失。
そしてエイズの発症と絶望と自死。
濃厚なる性的生を生きるのに不可欠な肉体の衰滅。
それが、このピカレスク的自伝の主人公にとっての悲哀だったのか。
誰一人として望んでいないはずの戦争という人殺しの行為がなぜ続けられるのか。
復興支援というけれど、自分たちが壊したものの後片付けなんだから、それは支援なんかじゃなくて戦後補償だと広河は言う。まったくその通りである。
今、巷のニュースでは、当時米英軍が爆撃を仕掛けた大義名分としていた「イラクは45分で生物化学兵器が使用できる軍備がある」という情報が、実はガセだったことが露見して、どう申し開きをしていくのかこれから注目されていくようであるが、そうだったのかどうかとは別の次元で、人が人の命を絶つということが認められるシチュエーションなんてどこにあるんだろうか。そんなものが許容されるはずはなかろうと思えてならない。
100ページに満たない本だが、これからの子どもたちにどんな未来を用意してやればいいのか、ここからまじめに考えていきたい。