アンジェリーク天空の鎮魂歌 スウィートガイド
武器や惑星の説明や手順が事細かに載っていてそんなつもりなくてもコンプリートしたくなってしまいます!また、隠しキャラの攻略方法も掲載されているので買って損はないでしょう。
遠くは近い
冒頭耳に飛び込んできたハラカミの「声」とも言える柔らかな電子音に思わず顔がほころんだ、久々に彼に再会できたような気分だ。
矢野顕子とレイ・ハラカミによるユニットyanoakmiの4年振り2作目かつ最終作。03年にくるり「ばらの花」のハラカミによるミックスを矢野
が聴いたことで始まった二人の交流は、07年にyanoakmi名義の処女作を発表するにまで発展する。矢野は自身には勿論共演者に対
しての要求も厳しい人だが、その彼女がyanokamiにて嬉々として歌い演奏する様を聴くと、ハラカミの才能に心底惚れ込んでいたので
あろう。休止を経て10年に再結成、yanokamiとしての第2ステージを歩み始めた矢先のハラカミの急逝、早すぎる死が心底惜しまれる。
そんな状況で本作を手にした私、作品に過剰な感傷を抱いてしまうかも…と正直怖かったが、収められた9曲に実際に接するとそんな
悲愴な色は微塵もなく、ただただ余りに美しい音の広がりに聴き惚れてしまう。そして改めてこれが最終作であることが悔やまれる。
真っ白なキャンバスに2人で持ち寄ったピアノと電子音という2つの要素を細かく点描してゆき、出来上がった抽象画の様なサウンドスケ
ープは、持ち寄った楽器(=道具)の少なさが信じられないほどに色鮮やかで愛らしい。ちなみにイラストレーター・坂本奈緒による空白
を活かした可愛らしいデザインワークは彼らの音楽の色をうまく表現している。
個人的な白眉が荒井由実「曇り空」のカヴァー。ハラカミが聴き手の耳にぽつ、ぽつ…と注ぎ込むカラフルな電子音の雨、そこに矢野の
少し憂鬱な歌とピアノがうっすら被さることで生まれる美しさと感動は言葉にするのが難しい。
彼らの動の魅力が発揮されたのが、オフコース「Yes Yes Yes 」のカヴァー。非常に細かく刻まれるビートと矢野の柔らかい歌の対比
により生まれるなんとも心地良い揺らぎは、聴き手の心を否応なく高揚させる。
作品の締めはローリング・ストーンズのカヴァー「Ruby Thesday」。歩くような速さで淡々と刻むビートに乗せ歌われる女性「Ruby The
sday」への別れと追憶の物語は、ハラカミが結果的に自身へと向けることになった軽やかなレクイエムの様だ。しかしながらピアノと戯れ
るが如くバウンドする電子音が突如途切れる終わり方には、まだ彼らの音楽が続きを見せてくれる気がしてならない。
世界中見渡しても2人の強烈な個性の衝突から産まれた美しい音楽と同じものにはこれからもきっと出会えない。彼らの音楽から得られ
る幸せを体験出来たことに心から感謝を。レイ・ハラカミ、たくさんの音の喜びをありがとう、そして安らかに。