KOEI The Best 七つの秘館
作家の志茂田景樹さんが原作で、しかもゲーム内に実写で登場するということから、奇ゲーとして避けていました。しかし、プレイしてみると、意外にも基礎をしっかり抑えたアドベンチャーの良作でした。謎解きは難しすぎず、それなりに雰囲気もあり、さくさく進んでテンポが良いです。ストーリーは無いに等しいのですが、変に電波なストーリーがくっついているよりはマシだと思います。アドベンチャーが好きなら、時々実写で出てきてぎょっとさせる志茂田景樹さんに注意して、遊んでみるのも良いのではないでしょうか。
黄色い牙
阿仁マタギを題材とした熊谷達也『邂逅の森』が注目されているが、私は四半世紀前の直木賞作品『黄色い牙』を思い出していた。2000年8月、阿仁町打当のマタギ資料館のガラスケースに文庫本を展示していたが、手にすることはできなかった。今回改訂新版を読んで、これこそ阿仁マタギを描写した文学だとの感を深くした。
阿仁町根子の更に奥、露留の里(露熊マタギ岩が現存するが)を舞台に設定し、巻狩りの様子、人間関係、稲作農業に頼らないマタギ生活を感動的に描き、旅マタギの途中で宿敵の渡り巨熊「鬼黒」との遭遇、鬼黒との決闘とも呼べる終末場面もすばらしい。
ぞうのこどもがみたゆめ (よい子に読み聞かせ隊の絵本)
ぞうの親子を通して、生きること、生きるための勇気を教えてくれる一冊です。お母さんぞうは、こどもに生きる強さを教えます。そして、自分自身の命の終わりを知ります。ひとりになるこどものぞう。でも大丈夫。お母さんぞうから教えてもらった強さ。そして、星になってずっとお母さんは自分を見つめてくれていると信じる勇気で、こどものぞうは生きていけるのです。年齢を問わず読める絵本です。
人魚の鱗 (Short Fantasy Stories ファンタジーの宝石箱)
4~5ページという短い童話がたくさんつまった、まさに「宝石箱」のような一冊。産経新聞に掲載されていた150話の童話を単行本にまとめた全4冊シリーズの第1巻です。
童話を書いている作家も実に多彩な人々が集まっていて、本好きなら一人は「あ、この作家知ってるぞ」という作家がいるはず。それぞれの作家がそれぞれの個性を出した、素敵な童話がつまっています。もちろん子どもにもオススメですし、ちょっと童心に戻ってみたい大人が読むにも充分耐えうる内容です。
ときどき思い出したように読みたくなるような、そんな本です。