U・TA・GE
ようやくCD化されました。
LPでの発売は81年ですから、30年目にして初CD化ですね。
このジャケットとちょっと変わったタイトルはおぼえていました。
当時はレンタルレコード最盛期、鑑賞環境もウォークマン2でしたから、手元にLPはありませんでした。
『松岡直也のアルバムにあった曲に歌詞をつけた歌』がずっと記憶の片隅にあったのですが、数年前に中古で購入したLP『Natural Woman』の中にそれを見つけ、いつかCD化されないかと情報を探していました。
『Natural Woman』に比較すると、音も歌唱もシンプルで、最初は少し物足りなさをおぼえましたが、当時の『POPEYE』『HOTDOG』『テニスサークル』等のワードがうかびます。
ちょっと歌謡曲っぽく感じますが、4,5,7,8がいいですね。
『Natural Woman』もぜひCD化を望みます。
コブラ ソング・コレクション
1.Daydream Romance /松崎しげる('82映画)
2.Stay… /EVE
3.コブラ /前野曜子('82TV)
4.シークレット・デザイアー /前野曜子
5.甘い出来事 /清野由美
6.さよならMan's World /清野由美
7,レディー /TOMO
8.傷だらけの夢 /高橋洋子('08OVA)
9.Wanderer /松崎しげる
10.TIME DRIVE /Sasja Antheunis('09OVA)
11.君が微笑うなら /松崎しげる
12.COBRA THE SPACE PIRATE /Sasja Antheunis('10TV)
13.君の歌 /松崎しげる
'82のシリーズをリアルタイムに見ていたので1〜7がいい。大野雄二や羽田健太郎の曲は今聴いても格好いい。
5〜7は、コンプリート・サウンドトラックにしか入ってなかったのでうれしい限り。
Sasja Anteunisの歌もコブラっぽくて良かったとおもう。こうみると、松崎しげる多いね、うまいけど。
今も昔も、コブラの音楽はいいね。
セーラが町にやってきた
大都会にはありふれた物が、田舎町には無いと言う例は沢山あります。長年住んでいると、「無いものネダリ」「無いもの探し」に、堕落してしまうのが普通です。そして、できない事の言い訳にしてしまいます。
外からやって来た人、しばらく外に行っていた人の方が上手いのが、「アルもの探し」です。この意味で、台風娘と呼ばれるセーラさんには、うってつけの役回りです。
しかし、外からやってくれば誰でも出来る訳でもなく、粘り強いエネルギーと、伝統や魂に対する謙虚さを合わせ持つセーラさんだから可能になった事が沢山ありそうです。
この本からは、セーラさんの謙虚さまでは読み取れないのが残念です。先日、12月6日に、幸運にもセーラさんの講演会とその後の懇親会で、お話を聞かせて頂き、「謙虚さ」を、生で感じ取ることができました。
この本で紹介された実績を上げていながら、謙虚さに磨きがかかっているようにさえ感じました。セーラさんからは、一片の傲慢さも感じ取れませんでした。自分よりはるか上位にある存在(神?)が念頭にないと、こうは行かないでしょう。
これだけの実績を上げるには、強引で、身勝手とさえ思える程のリーダーシップで、人を引っ張って行ったのだろうと思うのが普通です。本を読む限り、そのようにも受け取れます。
しかし、実際に接してみると全然違っていました。セーラさんにあったのは、伝統や魂に込められた摂理に対する敬意と、やむにやまれぬ純粋な情熱なのではないかと思います。難しければ難しいほど燃え上がる情熱があり、伝統や魂に対する敬意があったからこそ、一見強引に見えるやり方でありながら、最終的には周囲の理解と協力が取り付けられたのではないでしょうか。
くれぐれも、表面的な事だけ見て、セーラさんの真似をしようなどとは、考えない方が良いと思います。
私達に出来るのは、セーラさんを鏡とし、自分の行動に、これだけの純粋な熱意が備わっているか、無いものネダリになっていないか、そして、傲慢さが忍び寄っていないかと、自問自答する事ではないでしょうか。
新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)
「汐留」、「丸の内」、「六本木」、「代官山」、「町田」という5つの東京の地区と番外編として北京の再開発地区を、現代の日本を代表する建築家である隈研吾とジャーナリスト清野由美が訪問し、そこで感じたことを対談するという構成の本。こう書いてしまうと、なんか大して面白くなさそうに聞こえるかもしれないが、いやはやこれが実は非常に刺激的な内容になっている。この本を刺激的にしているのは、隈研吾の対談相手である清野由美が突っ込み役として極めて有効に役柄を果たしているからである。清野由美の立ち位置は素人代表ということであるが、プロのジャーナリストとして、非常に鋭い質問というか、聞きたくても聞きにくいことをずばずばと隈研吾に質問し、時には問い詰めていく。隈研吾も、どうにかその鋭い質問をかわそうとするのだが、清野由美が食らいつく。そのたじたじ加減が、臨場感溢れる文章で描かれていて面白い。そして、この清野の食いつきが、隈研吾の都市を捉える鋭い分析力を引き出している。ぼけてばっかしじゃ駄目だと気づいた隈が、しっかりと誠実に都市論を展開しているところは好感が持てる。現代の東京という都市で何が起きているかが非常に分かる本である。サラリーマン的根性が東京をはじめとした都市を駄目にしているという解説は、まさにその通りであると思うし、汐留はそのサラリーマン的根性が産み出した最悪の見本という指摘もまさにその通りと首肯する。日本人は優秀だけど、役人根性とサラリーマン根性が本当に世の中を悪くしてしまうんだよねえ、ということを東京の都市の無様な状況を目の前にすると感じさせられていたが、まあ、その考えを改めて認識させてくれた本である。