PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ)
たまたま今、自分の子どもの通う学校の問題と思っていたことがそうではなかった!
いや本当、自分の学校のことが描かれているのかと思いましたよ。
ウンウン頷いている場合ではありません。焦りを感じるほどのリアリティです!
もしかして全国津々浦々の学校が同じ問題を抱えているのだとしたら、それは大変なことです。
学校にとっても、父母にとっても、もちろん、子ども達にとっても、そしてこの国にとっても不幸としか言いようがありません。
労多くして本当のところ「実りはどうなの?」 本当に「子供のため?」 いくらなんでも仕事や家庭を「圧迫しすぎ〜!」。と、疑問符だらけになりながらも、何か良いことがあるのでは? まだ可能性があるのでは、と仕事の一端を引き受けているPTAの活動。
日頃のなんとも腑に落ちない、納得のいかない悶々たる気持ちの雲が晴れて、でもそこに見えてきたのは道なきジャングル!、と、一筋の光明、そして「愛」。
やはりこれはほおっておくわけにはいかないのでは?
うん、変えてゆかなくちゃ! と、本気で思わせてくれる一冊です。
本当にお薦めです。
動物園にできること (文春文庫)
本書にでてくるいくつかの動物園に、私も行った事がある。 昨今日本でもなされてきた棲息地型展示が主流で、欧州(ドイツではなかったかと思う)ではゴリラにストレスを与えぬよう、観客とゴリラを隔てるガラスの人の身長以下の部分の殆どに、中からも外からも見えないようにシールが貼られ、客は縦数CM・横10CM程度に所々切り取られた部分から内部を覗き見るようになっている展示も見た。
そんな動物園先進国が、どんな取り組みを行なっているのかを学べる本としては、近年いくつも発刊された旭山動物園関連の本より遥かに先を行く充実した中味であり、それは客を楽しませる為に動物の説明や餌付けを見せるということではなく、子どもや教育者に対する環境教育・種の保存・健康管理をしやすくする為の訓練・刺激を増やし、自然な環境に近付ける事で身体的・精神的健康に寄与するエンリッチメント・アジアやアフリカ等棲息地の繁殖計画やパプア=ニューギニア・中国へも出張して教育プログラムを広げるといった、国連1部門のような働きをも動物園は担っていけるのだという、先進国アメリカの例であった。
確かにヘンリー=ドーリー動物園の獣医の言うとおり、「野生のトラも今やちょっと大きな動物園に棲んでいるようなもの(であり、また)動物園には彼らを救う義務と能力があ」ろうし、その言葉には説得力もある。
日本の設置者の“市民の娯楽であればいい”という幼稚な考えと比較すべくもないが、米のように“積極的に動物を窓口とする地球環境悪化防止に関わろう”とする意思を持たずに見世物小屋として動物園を運営するのならば、そこに投入されている税金や入場料代わりの自然保護税を新設して、棲息地での密猟の取り締まりや環境保全に資金投入した方が良いのではないかとも思わせてしまう本です。
追記 読後、ここでも民度の低さに準じた施設しか持ちえないのか?と嘆いてしまいました…
川の名前 (ハヤカワ文庫JA)
3分の2まで読んだところで、子供にとられてしまって、そこまでのレビューですが、ここまでは、良い出来の小説です。目に見えるようにひとつの世界が描かれていて、その中で登場人物が、実在するように、実に鮮やかに動いています。このまま、もう3分の1が終わってくれれば、名作といえます。川を巡る小宇宙とその哲学も、理解しやすく過不足無く描かれていて、このまま破綻なく進めば、将来的に残る作品になるでしょう。しかし、ここからがむずかしいところなのですがね。がんばれ。
リスクテイカー (文春文庫)
おもしろいなぁと思いながら読むことができました。
ただ、マネーに興味のない人には全くおもしろくないと思います。
また、文章が登場人物であるケンジの日記(手記?)のような形態をとっているので
やわらかく読みやすいように思いますが、ケンジが出てこない部分では普通の小説風になるので
そのギャップに少し戸惑うかもしれません。
また文章の書かれ方からか
あまり躍動感や臨場感というものがなかったように思うので
すこし物足りなく感じるかもしれません。
オランウータンに森を返す日 (旺文社ジュニア・ノンフィクション)
~私もボルネオ(カリマンタン)のマレーシア側とスマトラにある2か所のオランウータンのリハビリテーションセンターを見学してきました。そのどちらも、どこまでもどこまでも続く油ヤシとゴムのプランテーションの間を通って行かなくてはなりませんでした。スマトラでは私がそこに行く半年前の2003年11月にはリハビリセンターのすぐ近くで地滑りがあり村が全滅した~~光景も見ました。それもプランテーション開発の行き過ぎによるものだと言われています。私は洗剤や食品に植物油の表示があるとオランウータンの森を思い出します。私達の生活とオランウータンとが直接結びついている事がちゃんと分かる良い本であると思います。~