いとこ同志 [DVD]
2人のいとこが同居しているのです。
そして、遊び人と生真面目で不器用な者と対照的であるのです。
大学は学士資格取得のための試験が最後にあるので、日本などよりは卒業の方がむずかしいもの。
転変ののち学生生活はどのように終るのか。
そこに焦点があります。
いとこ同志 全集 [DVD]
今から35年以上前、「火曜日の女」シリーズというサスペンスのTV映画シリーズがあった。毎週火曜日の夜10時からのオン・エアーで、当時はまだ小学生の高学年だったため、細部まで覚えていないが(ただし、“ルー、ルルゥ、ルルー”とのスキャットで始まるテーマだけは、今でも口ずさめるが)、タイトル名の如く、古今東西のミステリーを原作に、女性が主人公の傑作サスペンス揃いで、両親と共に大層面白く観ていた記憶がある。星由里子、大空真弓、三田佳子らが主演し、W・アイリッシュの「幻の女」や松本清張の「山峡の章」、それにS・ジャプリゾやC・アルレーの作品も取り上げられていた気がするが、中でも一番の傑作は、倉本聡が脚本を書き、岸田今日子が主演した「ガラス細工の家」で、有名私立中学受験を控えた医師一家の息子たちの誘拐を巡るサスペンスは、当時自分が同じ境遇にいた事もあり、今でも鮮烈に覚えている。さて、今作は、横溝正史の「三首塔」を原作にしているが、モチロン金田一耕助は登場せず、島田陽子をヒロインに連続殺人が繰り広げられる。当時子供心にスゴク怖くゾクゾクしながら観たものだが、果たして今日でも変わらず面白く観ることが出来るか楽しみだ。そして、前述した「ガラス細工の家」も、これを機にDVD化され、日の目を見ることを願いたい。
いとこ同志 [DVD]
処女作「美しきセルジュ」(57年)と対を成す作品と言えますが、シャブロルは前作で得た好評(と資金)をバネに、より大胆に伸び伸びと製作したように感じます。どのシーンも活き活きと力強く、全編テンポ良いリズムで展開して、傑作の名に相応しい。
主演の二人もこちらの方がハマリ役だし、モダンジャズとモーツアルトやワグナーの音楽も効果的に使われています。主に2箇所で見られる大胆なパン撮影も、当時の制約から解放されたものだったでしょう。ストーリー自体も容赦ない現実を突きつけています。
いとこのポール(ジャン・クロード・ブリアリ)を頼って、進学のため田舎からパリに出てきたシャルル(ジェラール・ブラン)。二人は同じ学生でもあったが、シャルルが母親の期待を一身に背負って生真面目な一方、ポールは大金持ちの叔父から預かった豪華なアパートメントで享楽的な生活を送っていた。
ポールが早速シャルルを高級スポーツカーに同乗させ、パリの名所案内をするシーンは、まさにヌーベルバーグ的な躍動感!ゴダールも羨ましがったに違いない。
ポールの乱れた交友関係が明らかになるにつれ、次第に本性を現してくる都会のデカダンス。シャルルが勉学に励みに来たつもりのアパートメントで夜な夜な繰り広げられる乱稚気パーティーとその後の倦怠は、初めて若き当事者たち自身によって活写されたことによる生々しさを伴って、ヌーベルバーグの真骨頂を表しています。
ポールたちの刺激の強い毒気に感化されながら、シャルルは勉学と恋に心を砕くのだが…。
実はハッピーエンドも用意されていたというラストシーンは、唯一やや劇的な演出となっていますが、それがより結末を印象付けると同時に、フィクションであることを呼び覚ます効果もあるように感じます。この場面こそ、恐るべき若者たち(ヌーベルバーグ)が戸惑いながらも、旧来の価値感を死に追いやった瞬間ではないでしょうか。