若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)
「すぐれた小説家のみが、すぐれた批評家足りうるのだ」
という意味の発言を、筒井康隆さんがされていた。
その通りだと思う。
読書という行為のダイナミズムを「わかっている」村上さんだからこそ、こんなに面白い批評が書けるんだろうな。知識の集積だけではなかなかこうは書けないもの。
サアカスの馬・童謡 (21世紀版少年少女日本文学館)
この本はずっと以前から買おうか、どうしようかと迷っていました。が、買ってよかったと思いました。八人の著者はいづれも
そうそうたるプロの作家達。作品が素晴らしいのは当然といえます。大人向けの本と違うのは綺麗な水彩画が載ってること。
難しい言葉や古い言葉は欄外に絵入りで説明が付いていること。いままでに読んだ作品も載っていますが、まったく違う感覚で
読むことができました。子供たち、そして毎日の生活に少し疲れた大人たちにお勧めです。
愛犬物語
学生時代からの友人である近藤啓太郎氏に、半ば強引に押し付けられた紀州犬のコンタ。最初は渋々だった著者だけれど、一緒に暮らすうちにコンタの性格をこよなく愛するようになります。犬は飼い主に似ると言いますが、(著者は認めていませんが・・)扉ページのコンタとの写真を見ると著者とコンタは顔つきまでそっくりに見えるではありませんか。
犬好きの作家仲間の逸話も面白く、ダルメシアン→ダメニシアンなど笑えます。(おねしょした布団をかぶって歩いているような犬だそうです。)15年の間寝食を共にしたコンタ。「コンタの上に雪降り積もる」この文章の中に著者がいかにコンタを慈しんできたかがあらわされているように思います。
ユーモアのある文章、思わず笑ってしまうようなエピソード、べったりしていない犬との関係。とても読み応えのある本でした。
死との対面: 瞬間を生きる (知恵の森文庫 t や 6-1)
新幹線のなかで読もうと手にしたこの本。とても読みやすく、しみじみしました。高齢者とはどんなことを考えて、日々過ごしているのか、片鱗が感じられます。自分もあっという間に、同じ立場になるのだろうと思うと、とても勉強にもなります。まだご存命で、今年で92歳とか、驚きました。寿命と健康って、不思議ですね。