証明の探究 (共通教育シリーズ)
とても面白い本でした。
題名は「証明の探求」と、ちょっと厳しい感じですが内容は非常に丁寧な解説です。
大きなゴールとしては「背理法」と「帰納法」の理解したうえでの、「オイラーの多面体定理」「ピックの公式」の証明ということだと思いますが、その前に「平行四辺形の面積」「11の倍数判定法」などで数学の証明に関しての導入があり、それらの問題解説も面白く、独立して読めます。
個人的には、阿弥陀くじで入り口に対してゴールが一つしか決まらないことを帰納法で証明するところが、高校で学習した帰納法の扱いとはちょっと違っていて(本質的には違いません)、興味がかきたてられる部分でした。今までは主に漸化式などを帰納法で証明するというのが高校での学習の主だったものですが、阿弥陀クジのような幾何的なものも帰納法を活用して証明できるということが新鮮でした。
それがあったので「オイラーの多面体定理」「ピックの公式」の証明も比較的すんなり読む事が出来たのだと思います。
本書の中には、著者の経験、経歴が多く語られています。筆者は大阪大学大学院の教授ですが、大学卒業後は塾で受験指導のバイトをしたりしていたとのことで、最初の「平行四辺形の面積」「11の倍数判定法」では、中学受験のテクニックとして問題の解き方が語られています。そのような幅広い視点で問題を紹介しているのも本書の魅力だと思います。
その筆者の、証明を伴わない公式だけを数学教育で教えていくことが意味がない、という主張はものすごく共感のできる言葉だと思います。
本書のカバーにある「数学嫌いも必携!」というのは、気持ちは分かりますが数学嫌いには大変な内容でしょう。
しかしながら、数学が好きな人には、たまらなく面白い本だと思います。
お薦めです!
論理的思考のための数学教室
ゲームにはルールがあります、ルールには説明があります。
小学校から中学校にあがった途端、ゲームが始まったのに説明は有りませんでした。
じゃあ今から私が説明しますから一緒にやりましょう。そんないい本です。