保科正之―徳川将軍家を支えた会津藩主 (中公新書)
まさに名君の要素を兼ね備えた人物が、幕政や藩政に影響を及ぼすことで多くの民衆が救済された。
しかしその一徹な将軍家への忠義の精神が、堅い遺訓として会津藩に伝えられ、
幕末の悲劇へと結びついてゆく。
時勢におもねることのない純粋さが、悲劇をより一層冷たく美しく際立たせているとも言える。
殉死を禁じ、江戸城天守閣の再建を無用として退け、
大火災で焼け出された江戸市民に惜しげもなく幕府の財産を費やし支援を惜しまなかった、
合理主義的な政策の目立つ保科正之であったなら、幕末の困難をどう生き抜いたであろうか。
その言葉だけが残され神格化され、正之には到底及ばないような人々がそれに愚直に縛られる状況では、
せっかくの合理性も精神も、損なわれてしまうというものではないだろうか。
明治新選組 (角川文庫)
著者の処女作品集で、6編の短編が納められています。
時代は、安土桃山から明治まで色々。
とくに面白かったのが、坂本竜馬暗殺について書いた
「近江屋に来た男」
主人公の最後の台詞が利いています。
又、柳生新陰流の話
「一つ岩柳陰の太刀」
の剣戟の描写が秀逸です。
奥方が活躍する話もありワクワクしながら読みました。
短編ですので、どのお話から拾って呼んでも楽しめます。
保科正之―徳川将軍家を支えた会津藩主 (中公文庫)
家光の腹違いの子。現在、大河ドラマに登場する「江」から想像できない「お江与の方」しかし、こんなすばらしい大名がいたのか。ぜひ、大河ドラマで上映願いたい。署名しました。高遠の桜ホームページをごらん願いたい。
いつの日か還る―新選組伍長島田魁伝 (文春文庫)
名前だけは頻繁にいろいろな所で見かけるが今一何者かがはっきりしなかったこの人物。
読んで好感が持てました。才能はあるのに不器用な生き方しか出来なかった侍の魅力溢れる一冊でした。
わずかな行き違いが、この好人物を光当たる歴史の表舞台で主役にさせなかっただけで、十分力はある人でした。
スポットライトが当たらなかったので生き残り、その後の生活をまっとう出来たのかもしれません。
でも新撰組二巨頭が好きな人は読むと結構がっかりするかも。私はしました。けどそれ以上に島田魁という人物を分かることができてとてもよかったです。
名君の碑―保科正之の生涯 (文春文庫)
根拠史料が偏り過ぎている。
正之の礼讃本ばかりでなく、もっと多種多様な史料を参照できなかったのか。
名君なのはよくわかるが、ここまで誉めるとちょっと嫌味。
小説としてはなかなか面白い。