鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
玉木宏が主人公役を演ずるテレビドラマを見て、面白いので原作を購入。
奈良公園、飛火野、若草山、東大寺、平城宮跡、今更ながら語感良好。
二学期のみの短期契約女子高教師である主人公は、なぜか担任も任ぜられ学園ドラマの開始。
そして鹿に話しかけられ、話はSF化。誰が狐か・鼠なのか、ミステリーは展開する。
謎の美少女堀田イトの剣道勝ち抜き戦は迫力あり。イトちゃんのファン多いのでは。
文章読みやすく、テンポの良い秀作だと思います。
鹿男あをによし
京都の大学サークルを舞台とした前作「鴨川ホルモー」に対し,
奈良の高校を舞台とした作品で,古都を舞台とした神秘的な「対抗戦」
を中心に話が展開していくところが共通点です.
発想のとっぴさと妖艶な古都の魅力の引き出しという点では前作の方が
上ですが,三角縁神獣鏡や剣道場後継娘をめぐるストーリーの構成や
文学としての完成度はこちらの方が上だと思います.
鴨川ホルモー (角川文庫)
よくも悪くも京大色いっぱいの小説です。
ファッション感ゼロの帰国子女という友人や増上慢の法学部男の設定がいかにもで,きっと吉田のキャンパスはこんな雰囲気なのだろうなと楽しみながら読みました。
京都+学生+青春を期待して読む人は楽しめて,
京都+式神+対決 を期待するとその薄さに物足りなさをおぼえるでしょう。
もう少し流れの調節がうまかったら充足した読後感がえられたのでしょうが,話の展開が序破急でいうと序序序序序急という感じで,ちょっと唐突で小説としてはもうちょっと手入れがいるかなと感じました。
でも,個人的な感想では,18才で吉田キャンパスに受験に行って,学生生活はおくれなかった身なので,もしもを想像してとっても楽しい擬似学生体験でした。
鹿男あをによし オリジナルサウンドトラック
これが果たして民放連ドラのサントラなのか?と驚くほどハイレベルで素晴らしい出来栄え!
水準としては、ハリウッドの大御所であった故ジェリー・ゴールドスミス(「ナポレオン・ソロ」、「トータルリコール」、「トータルフィアーズ」)やハンス・ジマー(「バックドラフト」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」)に匹敵するかそれ以上。
特にエンディングスコアはスタンダート曲として未来永劫、記憶され続ける名曲として残るでしょう。
もし日本ドラマ作曲賞があれば間違いなくアカデミー賞候補です。
エンディングスコア以外も、古都奈良を背景にした壮大で美しいメロディも、喋る鹿が絡むいコミカルな曲も、ドラマの本筋にマッチしたミステリアスな曲もどれも聴き応え十分です。
第3話の大阪でサンカクを預けている店に忍び込むシーンや第5話の大和杯で奈良女vs京都女の試合中、生徒が一斉に試合観戦に駆けつけるシーンに使われていたジャズ調にアレンジしたエンディングスコアもできればサントラに入れて欲しかったところですがともかく、耳にこびりついて離れない曲が多く、普通の連ドラ音楽を超越した作品です。