けものみち (上) (新潮文庫)
けものみちといえば、ぼくにとっては名取裕子が主演した1982年のNHKドラマが起点になっている。
彼女のファンだったので、これで大女優への道を走るのだと思っていた。
しかし、なぜか全編を覚えていない。民子(名取裕子)が鬼頭(西村晃)と出会うところくらいまでとあと執拗に迫る久恒刑事(伊東四朗)、それに山'ア努の顔くらいだ。
今読み返してみて、民子が主役というわけではないことにやっと気づいたのだった。
けものみちは、けものみちを歩こうとする人たち全員が主役なのだ。
結局歩き通したのは誰なのか?
小滝は歩き通せるのか?
けものみちを歩き抜けたはずの鬼頭のたどり着いた先はどこだったのか?
松本清張のベスト3に数えられる小説だ!
けものみち-全集- [DVD]
松本清張原作をテレビドラマ化。名取裕子主演、和田勉演出によるNHKのドラマ。公開は八十二年。名取裕子が素晴らしい。彼女の代表作であり、演技開眼した作品。共演の山崎努は見事のひとこと。松本清張の小説をドラマ化してもっとも成功したものだといえる。前半からハラハラドキドキとして、見る者を一気に引き込む力は凄い。
けもの道
「腹を割って話した」はなんとなく内容が見えていたので購入しなかったのですが、この本は帯にあった「藤やんとじっくり語り合う本です」になんとなく惹かれて購入しました。
内容としては、藤村Dが色々なことについての自分なりの考え方を書いています。しかし、文章が変に気張ってたりすることもなく、自然体なので気楽に読むことができます。DVDの副音声では語られないような、生き方についてや仕事との取り組みについてなどが書いてあって、興味深く読めました。ちょっと紹介すると「なにが好きなのか、なにが得意なのか。それをはじめっから自分の思い込みだけで決めてしまわないほうがいいと思う。仕事の場合は特にそうで、組織に入ってみて、ひとと関わってみて、初めてわかることのほうが断然多いから」といったような感じで、色々なことについて、藤村Dなりの考え方が書いてあります。
また、「1章 この道」、「2章 いっぽん道」、「3章 ラクな道」、・・・「7章 けもの道」というように章が構成されていて、内容を読むと章タイトルの意味が分かるような書き方になっています。
なお、本のデザインはどうでしょうさんとも縁のある鯨森惣七さんです、表紙だけ見るとちょっとした絵本な雰囲気を感じますね。
ちなみに、106〜109頁はおもいっきり新作のことについて触れているので、まだ新作を見てなく企画発表を楽しみにしている人は、ここをとばして読むか、1夜目を見てから読んだほうが無難です。
ラプンツェル
「この目さえ光を知らなければ」という印象的なフレーズの「雲路の果て」や、ポロメリア、樹海の糸などのスマッシュヒットシングルを網羅したこの作品は、Coccoといふ、表現者が持つ、あらゆる具象性や抽象性が遺憾なく発揮された驚異的な作品だよ。まず惹かれるのは美しいメロディー。
そしてそれと相反する激しいギターノイズ。とりわけここまで激しいバンドサウンドは日本のポップミュージック界に置いて異質だろう。
それは彼女の生家たる沖縄の悲哀と歓喜が如実に結晶された賜物だろうか。
月並みな表現で恐縮だが、正に「グリム童話」の世界そのものであると言える。優しさと残酷と狂気が内在された真に語られるべき世界。
その世界へといざなってくれるのがこのアルバムだ。
精神のけもの道―つい、おかしなことをやってしまう人たちの話
私にとってかなり楽しい考え方のツボを押してくれる春日先生と、そのご友人で漫画の家吉野 朔実さんの「精神のけもの道」に関するエッセイ(イラスト、漫画付き)です。「精神のけもの道」とは、春日先生曰く『人の心の働きにおいて、論理的で整合性はあるのに、普通の人の日常的な文脈からは逸脱してしまい、しかも何か過剰なものを現出させてしまっている人物の精神の様態を指す言葉』と述べられています。
人間観察の微妙な部分、光の当たりにくい部分に文章とイラストで光を当て、そこからさらに意味を、笑いを、時には教訓まで掘り下げてしまう春日先生と、たった2ページの漫画で解らせてしまう吉野さん、とても面白いです。私も興味があった事ではありますが、こうやって「精神のけもの道」というある程度流通する言葉ができますと、とても便利ですし、正直「精神のけもの道」入りそうになってしまう時に名前がある事で、すぐに客観性を帯びやすくなって入らないで済むようになり易いと思います。それでも入ってしまう時はあるのでしょうけれど。
もちろんこの本でも、春日先生の切れ味鋭い考察や、センスある言葉(例えば「羞恥心ない自己の丸投げ」とか「愚かさがまぶしい」とか)も素敵です。 吉野さんの一言「いい人は 一度のミスが 命取り」も名言です。たしか「じみへん」にも同じ話しがあったです。
精神のけもの道に興味のある方に、人間観察に興味のある方に、オススメ致します。