手塚治虫創作ノートと初期作品集
手塚治虫氏の習作時代の作品や資料を集めたもので、
「恐怖菌」以外の2作は、過去にひっそりと出版されていたので、
なんといっても目玉は構想ノートでしょう。
私はマニアなので購入しましたが、ここ最近の復刻のオンパレードには
本当に時代を感じます。もちろん、手塚氏が今日まで存命であれば、
決して世に現れなかったであろう復刻や資料集なので、その点は少し複雑ですが・・・。
星3つにした理由は、構想ノートはいいとして、習作時代の作品をもっと充実させてほしかった。
私としては、散逸したり、部分的にしか発見されていない習作時代の作品集を
なんとかまとめて習作全集として出してほしいです。
その中に、「ロマンス島」も含めてほしいなあ・・・。
40柄プリント千代紙 23-1986
普通の千代紙はきれいですがちょっと折りにくいし値段も高め、それにたまには単色でない折り紙も、と思ってこの日本的な柄の折り紙を購入しました。適度に薄くて折りやすいし、柄もいろいろ入っていて楽しいので、外国の方にも喜んでもらえました。大きさは15センチX15センチです。
二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9)
中学生時代、初めて谷川俊太郎の「生きる」という詩を知りました。その時の衝撃は大きく、今でも大好きな詩で谷川俊太郎のファンになりました。
この「二十億後年の孤独」は、初めて目を通す詩集です。題名や原点である詩集ということは知っていましたが、文庫本化されていたことを知り、購入。
読んでみて、日本語の「やさしさ」「美しさ」「しなやかさ」を、改めて新鮮に感じました。こんな美しい言語を粗末にしてはいけない、という気にさせられます。特に「世代」という詩によく表れていると思いました。
どの詩も、みずみずしい十代の感性で満たされていて、鼻の奥がツーンとする思いで読みました。
自分自身にもこんな時代があったと、数十年ぶりに思春期の自分自身にも再会したような気がします。
本人による自註、解説などのほかに、著者18歳の自筆ノートの一部と英文訳も掲載されています。
忘れかけていたものを思い出させてくれる良い本、詩に出会えてよかったです。
作家 蛙石鏡子の創作ノート (ジェッツコミックス)
連載当時に飛ばし飛ばしではあるものの読んでいて気になっていたので購入しました。
読んでみてびっくりしたのが、この作品は結構直接的なエロス描写(殆どはキゼンの妄想ですが)が盛り込まれてたんですね。
私が本誌で読んでいた回は殆ど全く直接的な描写の無いエピソードで、草食系オープンスケベの弟子であるキゼンと才色兼備でお堅い才女である蛙石先生との淡い恋模様にほのかなセクシー描写を絡めた作品であるという印象だったのですが、いや、やはり漫画と言うものは最初から読まねばわからぬものです。
で、オープンな描写ががっかりだったかと言うとそんなことは勿論無く。ええ。こちらもこちらでとても素晴らしい。
さておき。
主要登場人物がわずか3人と言う思い切った構成、全11話(+番外編1話)という潔い短さ、共にあわせてすっぱりと読めて、かつ、何度でも読み返してしまう後味の良い作品です。
何しろこの短い掲載期間中に、どこと無く大正〜昭和の雰囲気を想起させる世界観をしっかりと確立しているのが凄い。
不勉強なもので西川魯介氏の作品に触れたのはこれが最初だったのですが、いや、これは勿体無いことをしていましたね。
惜しむらくはこの二人の関係の行く末をもう少々読みたいところですが、何事も「もうちょっと欲しい」と言うところで止めておくのがやはり粋というものか。
西川氏の次なる作品に期待しつつ、スルメのようにこの本を読み返すとしましょう。