和解技術論―和解の基本原理 (信山社・法学の泉)
単に和解の技術論を述べるだけでなく(もちろん,この部分だけでも実践的で読む価値がある。),民事紛争解決学という広い体系的視点から見ても重要な書であり,紛争解決規範の多重性を想起させられる。民事調停,家事調停などにも十分応用できる実践の書でもあり,他に類書がなく,法曹にとって非常に有用な書であることは疑いない。
オーケストラル・シーン
湯浅氏のCDが最近良く出るようになったが、その中でも
この一枚は特に素晴らしい!
「クロノプラスティック第3番」の万華鏡の様な音響の放射は
久々にアグレッシヴな湯浅が聴ける。
「芭蕉の情景」は作曲者自身が「完璧な演奏」というだけあって、
驚異的な演奏。このサウンド感とテンポ感は、並じゃない。
この演奏のためだけに買っても損はない。
N響など、日本のオケでも良い演奏があったが、格が違う素晴らしさ。
「奥の細道」も、新響+飯盛の精緻な演奏が文句なし。
「レスポンソリウム」は、歌手に少々不満があるが、リリング版とは
また違ったオケの細部が見えて面白い。
和解 (新潮文庫)
第一子の祥月命日から始まり、最近の父親との争いの発端を探っていく回想じみた展開は読者を引き込ませるようでさすがにうまいと思った。志賀直哉らしく情景描写力、人間性の表現力は抜群で、この作品でも充分に滲み出ているのが第一子の危篤場面である。第一子の死による絶望から第二子の誕生による歓喜は、主人公の父に対する憎しみから調和への気持ちというコントラストと重なっており、生命のもたらす神秘的な力と意義を謳いあげているように思われる。半面、父と和解しようという気持ちの推移はあまり書かれておらず不徹底であるが、それはかえって生命の神秘的力を印象づける効果を高めていると言える。ただ、個人的には主人公の父への憎しみやそれから解放されるときの和やかな気持ちがグロテスクに表現されているのを期待していたばかりに少し残念だった。父子の血縁関係は絶対的なもので、それは決してなくなりはしない。どんなに嫌いになろうがその関係の強固さはゆるぎないということを改めて考えさせられた。