野口英世 伝染病にたちむかった医学の父 (学習漫画 世界の伝記)
野口博士の51年の生涯における重要な出来事をまんがで要約して分かり易く説明してあります。
小学生以上の読書嫌いなお子様にも、千円札の人はどんな人物だったかを学ばせるのによい教材となると思います。
志を持つことの大切さ、貧しさや肉体的ハンディ、困難や挫折にも負けずに努力して逞しく生きぬく事を学べる良書でもあると思います。
原作の発行が幾分古いので、イラストや構図に荒削りな印象を受けない訳でもありませんが、逆の観点から見ますと、古き良き伝記まんがとも言えると思います。
発達障害だって大丈夫―自閉症の子を育てる幸せ
手に取る人によって様々な思いや気づきが与えられる一冊です。子育てに悩んでいる人たちには笑いと励ましと共感が、プロとして子供に関わる人たちには反省や問題解決の糸口や「これからはこうしようか」という方向性が、そして多くの人々には子供たちについての理解や知識が、それぞれたっぷりと与えられます。そして何より、すべての人々に、「人を愛する」とは何かについて考えさせてくれます。というのは、私は作者の言葉から、彼女が息子を心から愛しつつも、息子は自らにとっての「他者」であることをはっきりと自覚していることを感じたからです。自分の子供であっても、決して自分自身の延長ではなく、自分を肩代わりしたり補完してくれる存在でもなく、明確な他者である。そしてその他者を心から慈しみ愛する、これは親子のみならず、人を愛することの「ほんとう」ではないか、私はそのことが一番心に残りました。表題にとらわれることなく、どなたでも手に取っていただきたい一冊です。
職場・友人・恋人・家族に「わかってもらえない」ときに読む本
弱っている…から手に取るわけだ、この手のタイトル本を。
ゆえに、ちっとも弱っちゃいない方は近寄りもしないだろうし、
読んでも「へ?」てなもんでしょう。
こっちを弱らせてくれるのはえてしてそんな御仁。
彼らには「わかってもらえない」なぞという心の襞的感傷とは無縁だからね…
ぼやいていても自分の弱りは解決しない。
これ読んで、少し楽になったよ。
感情的に崩れた自分や状況を、少し引いた位置から観察した気分なり。
1980アイコ十六歳 (河出文庫)
『1980アイコ十六歳』です。
舞台となる年代が、タイトルの中ではっきり書いてありますから、陳腐化ということはあり得ないですよね。時間が経っても、1980年という時代を描いたメモリーという立場へと変わる。
でも、そんな中でも恐らくほとんど変わらないのが、十六歳の女の子の姿でしょうか。
もちろんアイコの時代には存在しなかったケータイなんぞ持ってはいませんが、同じ部活の反りが合わない娘のことを、みんなで文句を言い合ったりして、そんなところは現代の十六歳でもほとんど変わらないでしょう。辛い時には気晴らしに屋根にのぼったり。文句を言うツールがケータイになるという違いくらいのもので。恐らく将来的にも本質は変わらないでしょうし。
その辺の、普通の女の子の「かわいらしさ」がリアルに描けていたと思います。
アイコ以外は、登場人物の名前が多く、しかもほとんどがニックネームなので区別しきれなかったというのはありますけど。
物語の中で学園生活をおくるアイコがどう成長したか、……というと、あまり成長はしていないでしょうか。
アイコはアイコです。