問題な日本語その3
問題な日本語シリーズの第三弾。
編著は大修館書店の国語辞典「明鏡」の北原保雄氏ら。
本シリーズのスタンスが好ましく思われるのは、
誤用であっても、直ちに却下するのではなく、
なぜこのような用法が出てきたのか考察を加える点である。
そして場合によっては誤用が一般化することで、
正しい用法に昇格していくのである。
そういう柔軟な発想がベストセラーの秘密か。
とはいうものの、言葉を大切にしたいと思うものにとっては、
語源や本来のかたちを知るのは必須であろう。
本来の型を知っているからこそ、
型からはずれた型破りも成り立つのだ。
型がなければ形無しだ、とはよく聞く話だが、もっともなことだ。
誤用と聞いて反発する人は、そのことを少し考えた方がいいし、
会話は相手があるのだから、相手への配慮も欠かせないのではないか。
なお、タイトルの「問題な」は、わざとつけたと聞いている。
みんなで国語辞典!―これも、日本語
この本の取り組み自体が、明鏡国語辞典の素晴らしいマーケティングであり、そこに一本取られた事がまずは一番の収穫。
辞書出版を行っている人たち自からが企画した「裏辞書」作成。
辞書というなんだか存在からして完璧を期待されるものに、入ってないものや抜けがあるというのを潔く認め、広く募る姿勢が現代風。
表が存在するということは、ほぼ自動的に裏(抜け落ち・新出)が存在するというのを企画まで昇華して、表の編集者が選ぶという真面目、楽しみぶりが本当に素晴らしい。
そして一般投稿という形で、お金もあまりかけてないこと、この本を販売してビジネスまでつながっていることが本当に素晴らしい。
中に選ばれている言葉も1300もあり、知らない言葉が多く、中にはくすっと笑わせてくれる言葉や、用例があって本当に楽しく読み進めた。
まだ続いてるらしい。投稿してみようかな。
日本語で何かを伝える仕事をしている人、マーケティングしている人、読んでみると絶対ヒント集になります。
持つべき本。お勧め。この本は安い。
[問題な日本語番外] かなり役立つ日本語クロスワード
入院し時間をもてあましている父にこの本を差し入れしたら大変喜んでもらいました。
雑誌のクロスワードに比べて、見やすく内容もまとまりがあり、解くのも楽しくできたそうです。他のクロスワードの本は2割程度の問題をやったところで途中でやめてしまったのに、この本は全問解いた(着手した)とのことでした。
問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?
私は別に日本語を極めた人でも、研究しているわけでも、特別なことを学んだわけでも無い。
でも最近、いやもっと以前からTVから流れてくる日本語、ネット上で目にする日本語、
聞こえてくる日本語に対して、なんとも言えない引っかかりを感じていた。
一番最初に違和感を覚えたのは、いわゆる『語尾上げ』の話し方だ。
コドモが使っているのなら、まだ理解できる。
でも、いい歳したオヤジやオバサンまでもが語尾を上げだした時にはぞっとした。
『語尾上げ』以降、引っかかる日本語は増えてゆくばかり。
ぶつくさ文句を言う私に、母は「アンタもオバサンになったってことよ。」と言った。
いや、そういう問題じゃないだろう!?
そんな思いをずっと抱えていたので、この本のことを知って即買いした。
特に個人的に非常に癇に障っていた『…しました。なので…』という使われ方をしている『なので』、
これについて真っ先に読んだ。
なるほどなぁ、とちょっと納得。
でも複雑。
やはり違和感は拭えない。
“言葉は変わってゆくもの”と、誰かが言っていたのをふと思い出した。
非常に真面目に“妙な”“最近新しい意味で使われだした”といった日本語について、
“何故そうなったのか”ということも含め、とても詳しく解説されている。
普段私が正しいと信じて使っていた、社会的にもごく当たり前に使われている言葉が
実は近代になって使われるようになった言葉だった…といった発見もあり、興味深い。
敬語・尊敬語・謙譲語の間違いについては、以前からよく論議されていたと思う。
本書はそういった内容もカバーしており、学ぶところが実に多い。
私には、とても興味深く面白く感じられた本である。
よろしかったらご一読を。
いのうえさきこさんの挿絵と、4コママンガがいい味出しています。
続弾!問題な日本語―何が気になる?どうして気になる?
「おタバコはご遠慮させていただきます」 何のこっちゃ? の例題に、「させていただきますを濫用して、勝手にこっちの許可を取るな」の思わず噴き出す問答から、「普通においしい」との若者言葉の解説まで、家族で楽しめる一冊。
まわりくどくてウンザリする答えもあるけれど、いのうえさきこの漫画が補って余りある!