南極越冬隊 タロジロの真実 (小学館文庫)
「タロ、ジロ」の物語は、邦画でも洋画でも映画化されたり、東京タワーの下の銅像があったり、多くの人が知るストーリーです。
本作は今まで刊行された本を再編集したものですが、実際に体験した隊員による手記なので非常にリアルで感動があります。
犬たちとの南極で過ごした日々、置き去りにせざるおえなかった経緯、そして奇蹟の再会。
高倉健演じる映画では、人間目指した嬉しそうに走ってくる二匹の犬に健さんが「タロ!ジロ!!」と呼びかけますが、実際には基地にいた二匹は人間を警戒し、近寄ると後ずさりをし、一見ではどの犬か分からないほどに変わっていました。
再会による感無量で「人間への恨みで噛み殺されても良い」という思いで犬に近づく作者。自分の名前を呼ばれた時の犬の反応。
演出された内容ではないだけに映画を超える感動があります。
後日談として、平年より温かい年に基地の周りの雪が溶けて、もう一匹、リキと思われる遺体が基地付近から発見されたと述べられています。
途中まで三匹で頑張っていたのですね…。
二匹がどのようにして生き残ってのか、作者の予想も書かれていますが、実際のところは分かりませんし、仲間が死んでいくのどのように感じたのかも分かりません。(さぞ辛かったことでしょう…)
「タロジロ物語」を後世へ伝えるためにも一家に一冊あってもよい本でしょう。