エックス・レイ
~いわゆる自伝と思ったら大間違いである。稀代のひねくれ者レイ・デイヴィスが、単なる自伝など書くはずがない。舞台はいきなり未来。ひとりの青年が社命によってレイを取材に行くという設定で、レイとキンクスの過去が語られる。
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60年代には既に存在した弟でギタリストのデイヴとの確執。ビートルズ、ストーンズ、フーへの強烈なライバル意識。そして栄光と悲惨。レイは実は自らの分身である青年に語っていく。そして最後には……。
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ロックにおける最高の詩人であるレイの構成力と筆致が見事で、何度も読み返したくなる作品だ。これを読んだら、あなたは次の日にはキンクスのCDを買いに出かけるだろう。ベスト盤くらいしか売ってないけど。~
絵でわかるマイルス・デイヴィスの生涯―マイルスの音はアートだった… (Scene of Jazz 1)
ジャズ本の中では異色。雰囲気のあるイラストと簡潔な文章で、特に音楽を聴きながら読むと最高! 文章が沢山書いてあるジャズ本は、音楽より文章を見てしまうから、なるほどこれはマイルスを聞きながら読み流せば、ジャズの楽しみをいっそう広げてくれます。
このシリーズの続編を期待します。
ミステリー・アパート [VHS]
モデルや俳優や芸術家志望者たちの住むアパート。仲のよかった隣人の死に疑問を抱いたカメラマンのキャットは、新しい入居者の正体を探ろうとして・・・
日本の「○曜サスペンス劇場」のようなストーリーで、「そんなことしていいの?」「そいつ信用できるのか?」と気になるところもサスペンスドラマとそっくり。・・・と思っていたら米国でもテレビ放送だったようで。道理でこの手の話にありがちな車を壊すアクションがないのね。
当時は仲良しだったらしいC・トーマス・ハウエルとレイ・ドーン・チョンのコンビもなつかしいですね。
ビート・ストリート [DVD]
ほんの小さな片田舎で、HIPHOPへの憧れを表現する術を持っていなかったあの頃。この映画にはファッション、音楽、ブレイクダンス、あの時代にカッコいいと思っていた全てが詰まっている。あらゆる文化が洗練された21世紀の今でも、色褪せることなくストレートにカッコいい映画。
シー・マイ・フレンズ
前作の「コーラル・コレクション」に続く、THE KINKSのヒット曲の自作カバー集第二弾。これまで、RAY DAVIES氏およびTHE KINKSのトリビュート・アルバムはあったし、その中で1曲くらいはRAYとの共演曲がアルバムに入っていたが、今回は初の全曲共演。そして、この国内盤のセールス・ポイントはボーナストラックが最後に2曲収録されていて、SHM−CDということかな。ボートラも単なるオマケを超える出来ですよ!?
THE KINKSで発表した曲は全部、聴いて知っているので、やはりTHE KINKSのオリジナルとどうしても比べてしまう。オリジナルが素晴らしいので、カバーの出来が良くても、私としてはこうしたカバー集に星5つをあげるわけにはいかない…それで、星は4つ。
それにしてもアルバムのタイトルが'SEE MY FRIENDS'とは、長年、共演嫌い(?)だったRAYにしては思い切った試みだ。収録曲から採ったアルバム・タイトルではあるが、一昔前ならブラック・ジョークと取れなくもないタイトルだ。思うにRAYもずいぶんと社交的になったものだと感心する。8回くらいアルバムを通して聞いたが、聞くほどに曲の良さと共演したアーチストのRAYに対する敬愛を感じるが、ファンとしては新曲で共演集を作って欲しいという願いも込めて、やはり星4つが最高点かな?
個人的には"Days / This Time Tomorrow","Long Way From Home","Dead End Street","See My Friends","'David Watts", 'Moments''が単なるカバーを超えた、出色の出来だと思う。特に'Moments''は'PERCY'収録のスタンダードっぽい作風なので、英語とフランス語で掛け合いながら歌うことで、この曲に何とも言えない磨きをかけている。これは必聴だ。他の曲も良いが、個人的には想定内なのであえてコメントはしない。