カリスマ体育教師の常勝教育
原田隆史氏の講演を聴いて,著書を読んで再度その方法論を学びたいと思って購入した本.
その大きな柱は,子ども自身の心をつくる教育.
そのもっとも大きな基礎となるのが,目標設定を子ども自身が出来るようになること.
その大切さを具体的な例を示しながら説いている.
そうして気づいた基礎を上手にサポートする体制の作り方.身辺を綺麗にすることから始まる態度を改めさせることのメリットなどなど,実際に取り組まれた内容を具体的に書いてあるから なるほど と思える.
読んでいて感じるのは,やはり教える側がきちんとしていないといけないということ.
原田氏はよく勉強して,日々研鑽している様子がうかがえる.教えながら,自分も学ぶ.そういう姿は結局子どもに伝わるのではないか.そう思える.
だからこそ,原田氏も最後の章で,大人達の心を磨く方法に言及しているのであろう.
多くの人が,さまざまな場面で“教える”ことに携わっていると思うが,そういう方には,ぜひとも一読して頂きたい本でありますね.
ドラマCD 百鬼夜行抄 第3巻~不老の壺~
今市子、百鬼夜行抄、石田彰ファンの人は購入する価値有り。
原作重視の読者には、余計な説明的台詞が疎ましく感じるかもしれませんが、原作を知らない人が聞くことを考慮すればとてもわかりやすいドラマCDです。声優さん達のすばらしい演技で迫力のある物語になっているし、今市子さんの作品特有の品もしっかり存在しています。
台詞と音楽と効果音だけでは表現しにくい情景も頑張って作られているけど、怖い部分だけでなくりっちゃんや青嵐とうさんなど飯嶋家の人たちもしっかり出張っているので安心を!
声優さんたちのこわ~い話しも楽しみですよ。
とりスペ
画風がいろいろとあり、それはそれで楽しめました。失礼ながら、大して読みたくもないようなページの方が多い気がします。表紙にだまされた感も…。
何も考えずに読む時間つぶしには◎。目当ての作家さんのページが多いか少ないかで評価は割れると思います。
眠れぬ夜の奇妙な話コミックス 百鬼夜行抄20 (ソノラマコミックス)
最近にしてはまあまあ分かりやすくて面白かった方だなと思います。やっぱり初期の頃のようにきちんと構成されていてわかりやく、絵もぼんやりしていなくて、なおかつ忘れかけていた何かをほろっと思い出させてくれる感じはもうないですが。最近の話しは伝えたいものがなくただ続けてる感が…。
それでもやっぱり他の漫画にはない味があって面白いし、ついつい買ってしまいますね。 「若水取り」はちょっといい話しだなと思いました。あと表紙はいつも通りとても美しいです。
大人の問題
聴くまでは、漫画のイメージとどれぐらいずれているのか不安でしたが、読みながら頭の中でイメージしていた声とほとんど同じなので、びっくりしました。直人など恐ろしいほどそのものずばりです。
しかもセリフは漫画どおりです。絵がないぶん、何か説明を足さなければいけないのかと思っていましたが、それが全く必要なかった。
つまり今市子さんのネームというものは、何も足すことなくキャラクターも状況もすべてを言い尽くしているのですね。聴いていると、そのイントネーションで、記憶の中の絵の表情までヴィヴィッドにたちあがってきます。ここまでネームがすばらしい作家さんだったのだと、知りました。(絵がうまいだけに絵が主力のような気もしていたのです)
さて、ほとんどの役が自分の脳内の音声と同じだったと書きましたが、唯一の発見は、海老悟郎です。ひとくせもふたくせもある屈折した、したたかな感じを、関俊彦さんが演じていて、「病的な嘘つき」と作中で言われているのがなるほど、と腑に落ちました。彼の場合、顔がきれいなだけに、もっと内心を読ませない細くて澄んだ声のような気がしていたのですが、音声ドラマでは表情がないので、内心まで声で演出してえぐりださなければならないのだな、と。
で、彼の存在感は、漫画よりずっと大きくなり、主役になってしまったようで、彼のファンとしてはさらに新たな魅力を発見できて嬉しいです(研修所の原島さんに会いにゆくくだりなど、彼のいじらしさの出ているエピソードは今回省かれていますが)。
それにしてもこの名作ドラマ、こうであるべき、といういろいろな枠が壊れて、家族が解体し、世間体が解体し・・・そして登場人物はそういうものを脱ぎ捨てて、どんどん大きな自分自身になってゆくのが眩しいです。女性陣は特に突き抜けていて、がちがちエリートの海老一お兄さんを自在に改造してしまう由美子さん、幼女ながら家族の真実を見抜いているともえちゃん、悟郎と、直人のお父さんの関係を知って、「なーんだ、問題ないじゃない」と一笑してしまう神田さんなど、ほんとうに鮮やかです。
今市子の強くて暖かい世界の原型のようなこの作品、ドラマCDもぜひ聴いてみてください。