君たちに明日はない (新潮文庫)
あの垣根涼介が山本周五郎賞を受賞?と何か賦におちない気分で読み始めた。お馴染みのアウトローたちの姿はなく、日本のどこにでもある社会の一面を「リストラ」というテーマで切り取った作品群となっている。凄腕の面接担当官とリストラ候補者との会話は面白く、笑いありペーソスあり、はたまた業界固有の薀蓄も含まれ、確かにかなり面白い現代小説に仕上がっている。
しかし、しかしである。新しい読者層からお叱りを受けることを覚悟の上で言わせていただくと、『ワイルド・ソウル』『午前3時・・・』或いは『ヒートアイランド』で唸りを上げた垣根ワールドに浸った者にとっては、こういった方向はどうも欲求不満と言わざるを得ない。底辺に流れる激しい情熱や誰にも止められない疾走感(ドライヴ感?)を、肌のどこかでピリピリと感じながら読み進む楽しみが過去の垣根作品にはあった。確かに社会風刺も面白いテーマで取り組みたい気持ちも判らぬではないが(作者あとがきで触れられているとおり)、垣根氏にはもっと大きなプロットでドロ臭い作品を期待したい。
こういったシチュエーションなら奥田英朗という方がおられたが、サラリーマンの悲喜こもごもというテーマであれば荻原浩も結構面白く、『メリーゴーランド』や『神様から一言』あたりをお薦めしたい。今回は大変厳しい評価であることを承知で星3つとする。最後に、性描写のくどさについては私も結構気になった。
俺たちの旅・青春の詩~俺たちシリーズ主題歌・挿入歌集~
70年代の日本テレビ系の大ヒット番組『俺たちの旅』を中心とする“俺たちシリーズ”の主題歌・挿入歌集アルバムは、95年にもコロムビアから「青春ドラマシリーズ ソングブック/俺たちの旅」という企画で発売されていたが、解説書の充実ぶりや音質の良さから見ても、今回のアルバムに軍配があがる。
全24ページのブックレットは放送リストや作品紹介、挿入歌の使用話数の解説も掲載されていて、詳細な番組ガイドとしても充実の出来栄え。サウンドもデジタル・リマスター作業で磨きがかかり、旧盤とは比べ物にならない素晴らしさ。なにしろ70年代の録音とは思えないほどシャープな音になっている。
また、「俺たちの旅」は歌詞の一部が異なっているTVサイズの主題歌もボーナストラックで収録され、かゆいところに手が届く構成だ。
ブックレットの裏表紙にはシングルやLPなど、当時のアナログ盤の懐かしいジャケットをカラーで掲載している。
俺たちの朝 サウンド・トラック・コンプリート・エディション
トランザムによる「俺たちの朝」のサントラ盤。一つ一つの曲は短いが、「ああ、こんな曲もあった〜」と感慨に浸ってしまいます。オッスが闊歩した極楽寺駅周辺や海辺の場面、チューの劇団や紙芝居のシーン・カーコのカーカー怒る姿(笑)、ジーンズショップ、小町通り、金沢、鹿児島…ドラマの様々なシーンが鮮やかによみがえります。
三人の若さが溢れ、飾り気のないドラマには、トランザムの曲はぴったりでした。
MP3プレーヤーに入れて、極楽寺辺りを訪れて聴けば、感激すること間違いなしです。
STARTING OVER(初回盤)(DVD付)
タイトルが決定しました『STARTING OVER』 M1 今はここが真ん中さ! M2 笑顔の未来へ M3 こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい M4 リッスントゥザミュージック M5 まぬけなJohnny M6 さよならパーティー M7 starting over M8 翳りゆく部屋 M9 冬の朝 M10 俺たちの明日 M11 FLYER 『DEAD OR ALIVE』以降内へ内へと入り込んでいった作品が多かった気がします。それらの作品は決して評価の低い作品ではありません。ただ、悲しいことにセールスとは結びつきませんでした。ここには売れる音楽だけが素晴らしいわけではないという反論もあるでしょう。しかし、ボーカルの宮本さんがメディアでたびたび口にしているように、レコード会社を首になってしまっては元も子もないわけです。『悲しみの果て』を余技と言ってから11年が経とうとしています。以前の売れ線と言われているポニーキャニオン時代の曲よりも、ユニバーサル移籍後にリリースされたシングル。特に『俺たちの明日』に関しては歌詞のメッセージがよりストーレートになっていると感じました。少なくとも私の胸にはストレートに突き刺さりました。『THE ELEPHANT KASHIMASHI』から『東京の空』までを好きな人もいれば、『ココロに花を』から『ライフ』までを好きな人もいるでしょう。『DEAD OR ALIVE』から『町を見下ろす丘』までを好きな人も当然いるはずです。私はどちらかと言うと、『DEAD OR ALIVE』から『町を見下ろす丘』のあたりが好きですが、なにより以前よりもストレートな歌詞で歌を届けてくれる今のエレカシにも魅力を感じます。『俺たちの明日』や『笑顔の未来へ』でエレカシにはまった人はぜひこのアルバムと過去のアルバムも聴いてみてください。アルバム毎にカラーの異なる彼らの作品は、魅力的に映ることでしょう。このアルバムの中では野音でやったユーミンの『翳りゆく部屋』がどのように仕上がっているかが非常に楽しみです。また初期の『生活』の世界観を彷彿させるタイトルである『こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい』もタイトルだけで期待させてくれます。
俺たちの旅 青春アンソロジーDVD-BOX I
何年も会えなかった親友にでも、巡り会えたような喜びです。今回のDVD化で、一生の宝物となることができます。
「俺たちの旅」は、青春時代の思い出だけでなく、現在にも通ずる友情や愛、夢、そして社会における自分の生き方など、永遠に語り継がれていくテーマが、いっぱい描かれています。そんな作品に、多感な青春時代に出会えて、よかったと思います。そして、このDVD購入で、また改めて作品を見る機会を与えられた事に感謝します。