TMS DVD COLLECTION ベルサイユのばら MEMORIAL BOX
BD発売前にもうひと稼ぎだな、とは思う。だが全40話・8枚組ディスクでこの価格なら迷わず買い。
原作を意識した前半は、「りりしくてカッコいいオスカル」が楽しめる。しかし長浜忠夫が降板し、出崎統にバトンタッチした中期からは、4人の男女の愛の苦しみなど等身大の人間ドラマになっていく。そして後期、ラサールや頬傷男などオリジナルキャラが数多く登場。衛兵隊兵士たちとの交流・寡黙なオスカル、鳥瞰的視点や独自の展開などが、原作ファンには評価の分かれるところ。ちなみに原作者の池田理代子先生は、「おにいさまへ…」のアニメ化の際に出崎氏をご指名したそうだから、それなりにアニメ版を評価していた模様だ。
とにかく監督交代による作風の変貌を、手ごろな価格で一挙に堪能できるまたとないチャンスだ。あなたはどう評価するだろうか?
ベルサイユのばら 完全版セット (集英社ガールズコミックス)
ページ割り、扉絵、カラーページについてはくらくらさんが
すでに言及していらっしゃるので付け加えることはありません。
私が完全版で特筆すべきと思うのは、他のバージョンと比べて
紙質のクオリティーや印刷のレベルが非常に高く、
理代子先生のペンの跡がくっきり確認できる、という点です。
マーガレットコミックス等、他の版で見た際には「ベタ塗り」に
見える箇所が実は無数の線で描かれていることや、
わずかなペン先のブレなども全て見てとることができ、
理代子先生の息づかいが聞こえてくるようです。
ご自分の好きな箇所が掲載されている巻のみを買ってみるのも
よいかもしれません。(集英社のサイトにて各巻の冒頭部分が
確認出来ますので、何かしらの版を既にお持ちの方なら、
どの巻にどのエピソードが掲載されているのかが判断可能。)
ただ、やはりオリジナル台詞の一部差し替えがあります。
ベルサイユのばらFIN ドラマCD
前作の「2」で「この戦闘が終わったら 結婚式だ!」までいったので、
結末は分かっている以上、オスカルとアンドレの最期、どう落とすのか興味津々でした。
ネタばれしてしまうので詳細は書けませんが、「で、そうきたか〜!」。
で、その後の進行は…、「うん、なるほど〜!!」。
と、立木ミルさんの脚本に私は納得です。
「音だけ」で構成する以上、原作そのままのセリフや展開というわけにはもちろんいきません。
それは致し方ないと思います。
ともかく、宝塚歌劇、実写版、アニメ版…それらより、遥かに原作に忠実な脚本だと思います。
初めは男性のみの声にすごく違和感を覚えましたが、脚本の巧みさに引きずられて「2」を何度も聴き、その後「1」を購入。
「なるほど、『2』のためにここで終わったのだな。」と合点し、そしてFINへ…。
もう、今となっては声の違和感ナシ!!
ここでの森川さんの声が私の中のオスカルの声になってしまうほど、全シリーズ通して何度も聴いています。
何度聴いても、胸が締め付けられます…。
FINの前半部分でアンドレとオスカルは死んでしまいます。
原作ファンの中にはコミックス8巻のマロン・グラッセ逝去以後は読まないという方も多いようですが、
後半部分はその読まれないことの多いフェルゼンとアントワネットの恋模様が描かれます。
子どもの頃は早々に両想いになる二人に対し、「なにさ、さっさと両想いになって!」とやっかみ、スルーしていたきらいのある私でしたが、
現実に私自身が結婚・出産を経て、十数年ぶりに全巻再読した時、
実はオスカルとアンドレの恋以上に、この二人の恋が切ないものだったことに気付き、大きな衝撃を受けました。
このフェルゼンとアントワネットの切ない恋をしっかり押さえ、結末にしたFIN、さすがだと思います。
誤解されがちなことですが、「ベルばら」の主人公は、マリー・アントワネットなんです〜!
現実の男女より虚構の男女(例えば歌舞伎とか宝塚歌劇とか)が演じる方が、情感をデフォルメして出せる分、また受け取る側もデフォルメだと了解しているからこそ、安心して浸れるかな〜、と思います。
多分、オスカルをはじめとした女性役を現実の女性がやったら…私恥ずかしくて聴けないかも…。
それらを「声」だけでやってのけた「男性」の声優さん方、…今までの認識を改めました。
中には「女性では!?」と思うほどの芸達者な方もいて、本当にびっくりです。
その分、最後のキャストトークの弾けぶり、実は私はホッとしています。
それだけ一生懸命取り組んでの作品なんだと、ありがたく聴いて、聴く度におなかを抱えて笑っています。
(一度聞くと耳から離れないフレーズあり…要注意!!)
ベルサイユのばら 6 [DVD]
出崎氏が演出を担当するようになったのはこの巻よりも前だが、アニメ版の評価を二分させてしまった路線
変更はこの巻からが顕著。止め画や透過光の多用以外にも、少女マンガ的な要素を排し、劇画的な
要素、リアリティをもたせようという出崎氏の意図のもと、手始めというか、まずはアンドレのキャラ設定がか
なり変わってしまった。原作においてはアンドレのキャラが深く掘り下げられたのは後半になってからなので、
該当する時期の原作との相違はかなり違う。
アニメ版のほうは、貴族に飼われた平民であるという自分の立場を強く意識し(この点は実写の映画版も
同じ)、それにオスカルへの想いとが絡み合い、自分の気持ちを誰にも言えないジレンマを抱え、そのため、
より寡黙で自分の意思を抑えた存在になっている。
キャラが変わったので、当然のことながら彼とオスカルの関係も(原作ほどの一体感が失せ)違っている。端
的なのは、オスカルがアンドレを黒い騎士だと疑ってしまう点。原作ではちょっとありえない設定。また、ベル
ナールを助けようと言い出すのもアンドレからだし。
ともあれ、この巻で気に入っているシーン。
・29話で、投げつけられたナイフをつかみ、衛兵隊の兵士のベルトのバックルにナイフを突き刺すときのオスカル
の表情はとてもカッコイイ。
・(これは有名なシーン)30話で、襲撃されたジャルジェ将軍が無事と聞いて、安心して泣いて座りこんでしま
うオスカルと、彼女にハンカチを差し出すアンドレ。そして彼にありがとうというオスカル。
サウンドシアター ドラマCD ベルサイユのばら
きっぱりキャスト買いです。キャストは素晴らしいと思いますが、話がバラバラで原作知らないと何がなんだか判らない造りになっていて、これだけのキャストなのに勿体ないです。
森川さんなので、BLにアレンジしてあるのかと変な期待をしてしまいました。