黒いドレスの女 [DVD]
昔、友達とビデオ借りて見た時に印象に残ったのがソアラのエンジン音とEDの去り行く彼女の呪文のごとき科白だった。年食って改めて見ると良く考えられた作りだったのだと関心しきり(いろんな意味でね)。時代が買える。良かったり悪かったり。
楊令伝 4 雷霆の章 (集英社文庫)
正直、『水滸伝』から『楊令伝』に入ってからは物語の規模が拡がり過ぎ、展開を制御し切れなくなった感があるが、それだけ壮大な物語を描き切ったことに敬意を表したいです。
そして、『水滸伝』が初めて刊行された2000年以来、気力を活力を与え鼓舞し続けてくれたことに厚く熱く感謝したいです。
逃がれの街 [DVD]
昔水谷豊が結構好きで出てるドラマとかよく見てました。「熱中時代」や「事件記者チャボ」とか。けどだんだん好きじゃなくなってきて今は全然見なくなりました。ドラマでいうと「気分は名探偵」くらいまでで「刑事貴族(でかきぞく)」の辺になるともうだめでした。同じように好きだった中村雅俊にもいえるけど似たような役ばっかりやってるから飽きてしまうんじゃないかと。
イメージもあるのかしれんけど元ファンとしてはたまには全然違う水谷豊もみたいのです。
その豊がまだまだ熱かった時代の映画「逃がれの街」(1983)をスカパー日本映画チャンネルで久々見ました。北方謙三原作で音楽は柳ジョージ。
若いトラックの運ちゃんがふとした不運が重なり人を殺して警察に追われることになる話。
水谷豊はこういう役にビシっとはまる。ほかの出演者もシブどころがでまくり。会社のやな上司にライト級の10回戦まで行った元ボクサー阿藤海。豊かボッコボコにされます。先輩に田中邦衛、後輩に島田紳助(アル中)後、ヤクザの役の財津一郎にもボッコボコにされます。
後半豊の怒りが爆発して財津を撲殺した後子分のヤクザらも刺しまくって逃亡。最後は警察に狙撃されて死亡。やっぱこの頃の水谷豊はええなあー。
ドラマ「相棒」なんかでえらそうにしてる豊はもうみたくないです。
本当の水谷豊伝説が始まるのはこれから!
楊令伝 5 猩紅の章 (集英社文庫 き 3-71)
南の方臘の宗教動乱、北の燕雲十六州をめぐる戦い。
宋が抱える南北の動乱がこの巻で決着します。
それにしても呉用。
キャラクターが変わりましたね。
あるいはこちらが本質だったのかもしれません。
最も信仰心からは遠そうな知性派の呉用でさえ変質させるのが、宗教の怖いところかもしれませんが。
水滸伝時代から武闘派の皆さんからは嫌われ嫌われ、読者としても呉用がやり込められる場面は結構胸のすく想いがしたりしたものです。(現場と管理部門の対立として考えると面白かった。)
李逵に板斧を喉元に突きつけられる場面なんかは、李逵に拍手を送りたくなったものです。
実は呉用をそんなに嫌いじゃないことに楊令伝に入ってから気が付きました。
キャラクターが変わったから嫌な感じが薄れたのか、もしかしたら自ら困難な現場に飛び込んでいったから好意を持ったのかは分かりませんが。
さあ、南北の動乱が片付いていよいよ次世代梁山泊と宋禁軍の全面戦争かと思っていたら、最後で、扈三娘へのどす黒い情欲を満たすための聞煥章のたくらみ。
王英の忘れ形見二人を利用する流れになりそうです。
私は聞煥章のことが割と好きなんですよ。満たされない想いに悶々としている悪役って好感が持てるじゃないですか。
そこは触らないでいて欲しかったなあ。
そこに触れると水滸伝以来全編に、(希代のヒットマン史文恭を描く場面でさえ)流れている爽快感がなくなってしまいます...。
「どす黒さもまた人間性だよ」と北方先生はおっしゃるのでしょうが。
岳飛伝 一 三霊の章
北方水滸伝を読んでいる時にはまさかここまで引っ張るとは思いませんでしたが、それでも水滸伝ファンの私には梁山泊のヒーローたちの血筋を受け継ぐ面々の活躍が読めると思うだけでどうしても手に取ってしまいます。
正直、前作の楊令伝が途中で中だるみしていた気がしていたのですが、第三部の岳飛伝も登場人物の今の状況説明が大半でしょっぱなから飛ばしているという感じではありません。また岳飛と梁山泊の関係も現時点では無理矢理感をどうしても感じてしまいますが、そこはさすがの著者の力で物語にぐいぐいと引き込まれ、あっという間に読了してしまいました。片腕をなくした岳飛と残された梁山泊の面々の今後の活躍がとても楽しみです。どちらにしろしばらくは次作の発売を待ち続ける日々が続きそうです。