ローオン歌謡列伝
ある日、動画サイトでフラワーショウの「幻のブルース」を見つけた。
勿論、音曲漫才をしていたフラワーショウは知っているが、こんな強烈な歌を残していたとは・・・
しかも、レーベルは「ローオン」・・・浪曲好きの事業家がもはや道楽だけではじめたといえるこのレコード会社で、芸人も歌謡曲を多数吹き込んでいたのだ。
こういった、消滅レーベル、しかも関西ローカルであれば、音源はどうなった・・・?となる。気になっていたが、何とこの度陽の目を見ることに・・・これは奇跡ではないのか?
届いたCDを、夜中にもかかわらず聴いてみた。
ガレージを改造して作ったスタジオで冷房も入れられず汗をたらしながら録音したというのであるが、意外にも音質は良く、十分満足のいく出来であったのには感激。ローオンの大看板・幸枝若の河内音頭が良いのはいうに及ばず、あの横山やすしの、破天荒な人生とは反対の(?)律儀で誠実な歌声、華ばらの絞り出すような高音、そして芙蓉軒麗華の実に力強い節回し・・・いずれも傑作。
どういう経緯で澤田隆治氏が音源保管を任されていたのか知らないが、氏のおかげでこうした「歴史的芸能遺産」が世に出たことは賞賛に値する。
feat.PLUS(初回限定盤)(CD+DVD)
高野健一作の曲は一度聞いただけでそれと分かってしまう。
これは簡単なようで凄く難しいことで、同じことが出来る人は特にポップスの世界では実は少ないと思う。
何よりもこの人の凄いところは、聞き流し気味に聞くと美しいと思うのに良く聞くと結構変なメロディーだったりする不思議さ。
このアルバムでそれが一番顕著に表れているのは7曲目の初音ミクを使った楽曲だと思う。
ニコニコにも数多くアマの作った初音ミクの曲はあるが、同じ土俵で比べた時にやはりプロである高野健一のセンスには感服させられるばかりである。
ただ、前作のアルバムが全体を通してのまとまりがある名盤であったのに対して今作はベストアルバムに感じる「寄せ集め感」が否めない。
待ちに待ったアルバムであり、各楽曲も良く出来ているだけに残念でしょうがない。