新・餓狼伝 巻ノ二 拳神皇帝編 (FUTABA NOVELS)
表紙をキマイラの寺田克也氏にして装いも新たになった餓狼伝。
文七対カイザー武藤、堤城平対グレート巽と見所が満載です。この巻でひとまず東洋プロレス主催の大会は終わり、いよいよ13巻のあとがきにもあった松尾象山と磯村露風の過去の話しに入っていきます。まだ、スクネ流やらホセラモスガルシーアなどの伏線が残ってはいますが、文七の復活でそれも回収されることでしょう。
やはり堤城平の闘い方は素晴らしかった。問題は次巻がいつでるか……それぐらいですね。
神々の山嶺(下) (集英社文庫)
著者あとがきの「書き残したことはない」。
大納得。全て出し切っている。
エベレストの調査がリアル、と思っていたら、著者は実際ヒマラヤに行かれていたようですね。氷壁を登る場面、8千メートルあたりでの幻聴、幻覚(ちょっと怖い)、臨場感がすごかった・・。自分も擬似エベレスト登山したような気分になります。
内容も骨太で、深い、本当に質の良い小説だった。
神々の山嶺(上) (集英社文庫)
友人からの薦めで読んだ「神々の山嶺」。基本的に『山モノ』ということもあり全編は男臭さに溢れているが、主人公二人(ともに男性)のパーソナリティが無骨、繊細の二手に分かれ、さながら恋愛のようにも見える。女性にもお薦め。主人公の一人は山と過去を求め、もう一人は山と過去を求める男を追う。彼らが登るのは『自らの過去』という最高峰。求めるものの違う人々の心が、世界最高峰を通じて交わった瞬間、悲しく美しいラストへと一直線だ。読者すら山を制覇した読了感が味わえる。必読。
ラヴクラフト全集〈5〉 (創元推理文庫)
良い作品が収録されているのですが、翻訳が悪いので、とても残念です。
大瀧氏の訳は、句読点を付ける箇所が悪かったり、文章の区切り方が悪かったりして、
文章が長々ったらしくなり、非常に読みにくいのです。
そのような訳は、文章の意味が分かりにくくなります。
もっと分かり易い簡潔な翻訳をお願いしたいものです。
「ダンウィッチ(ダニッチ)の怪」は、大瀧訳以外の訳を二度読んだことがありますが、
そのどちらも分かり易い簡潔な文体で翻訳してありました。
「ダンウィッチの怪」に夜鷹が出てきますが、
上記の二訳者は、「夜鷹」と訳しているのに、
大瀧氏だけは「ウィップアーウィル」と訳していました。
「ウィップアーウィル」と言われても、一般人にはイメージが湧かないと思います。