アンダー・ユア・ベッド (角川ホラー文庫)
冷静に考えると、かなり度を越したストーカーで怖いんですけど、
でも確かに「純愛」なんです。
いつの間にかストーカの主人公を応援していて、最終的にはどうか幸せになって欲しいと
切に願ってしまいます。
大石先生の作品の中でダントツに好きです。
読後に切ない余韻が残ります。
奴隷契約 (幻冬舎アウトロー文庫)
裏表紙や帯に「SM非道小説」なんて書いてあるので、期待してしまったのですが
主人公は自分のSM行為に悩みつつも、願望を叶えていきます。
M的要素のない相手は苦痛を感じつつお金のために我慢します。
行為は、あまりたいしたことはしていないのです。
汚くないし、綺麗ですね。
私の主観から見るとちょっと物足りないです
官能小説ではありませんね。
とはいえ、SMに嫌悪感を持っている方も不快感なく読める内容です。
表紙はおどろおどろしいので、電車の中ではカバーは必要ですよね
サド的要素のある方、かつ未体験で、自身の内的サディスト感に
罪悪感のある方ならとても楽しめるのかもしれませんが
経験者には物足りなさを感じてしまうと思います
主人公の性的未熟さを感じてしまうかもしれません
でも主人公が真面目に考えている部分に
好意的な印象を感じますし
次には、もっと過激になるのかと期待しながら
ついついノンストップで読んでしまう点で
評価します
邪な囁き (角川ホラー文庫)
ホラー界では間違いなく日本トップでありながら常に異常と狂気を描いてきた大石。他者と溶け込めない孤独感と狂気を透明感のある美しい文体で描くそのスタイルにはファンも多い(はず)
本書では大石作品では典型的な異常者が主人公であり、人の不幸に幸せを感じる。だが、そんな彼もひょんなことから女性と結婚し…という内容だが、正直主人公の悪意は平凡の領域を出るものではなくこれまでの大石作品の主人公のような傑出した個性を感じない。だが、主人公と結婚することになる女性の心理描写は良い。この人の書く女性は繊細さと切なさが出ていていることが多いが、本作のヒロインはこれまでの大石作品の中で一番良い。「水底から君を呼ぶ」から、さらに腕を上げたといえよう。
ホラーからラブストーリーへ。孤独と異常から切なさへ。大石の行く先が楽しみである。
殺人勤務医 (角川ホラー文庫)
主人公の考えにはとても共感する部分があった。
ただこの主人公の恐ろしいところは絶対に許さないという信念にある。
1度、標的にされたら絶対に逃げることも許されることもない。
そこが恐ろしかった。
弱いもの、動物には優しいが、もし彼の行為を裏切るようなことを
した場合・・・・・
『善に強きは悪にも強き』こんな諺が浮かんだ。
最後の晩餐 [DVD]
元祖、国際派俳優である加藤雅也のファンなので観たが、久々にハマり役だったと思う。香港ロケの猟奇的なシーンも彼が演じると何処か外国映画のような錯覚に陥る。渡辺謙に先を越されてしまったが、加藤雅也には頑張ってもらいたい。因みにこの映画、日本ではパッとしなかったが、スコットランド国際ホラー映画際では準グランプリ受賞していた。他にも海外のファンタジー系映画祭に多数招待を受けている。日本人よりも西洋人にウケル映画だったのか。因みに見応えのあるところは、人肉料理、映画音楽、タイトルバックのCG。それから松方弘樹の怪演(ホラー映画初出演?)は、お勧め。噂によると映倫審査員達が激怒したらしい。カニバリズム映画に慣れない方にはお勧めできない。何故なら、美味しい肉料理が食べられなくなってしまうよ。主役に加藤雅也を起用した監督、プロデューサーにエールを贈りたい。