わすれな歌 [DVD]
かなりのクオリティ。二度観たが相変わらず満足。
因果応報を強く打ち出したタイ仏教観、およびタイ人の友情、愛情、家族事情など、やはりタイ人監督でしか描けないタイ像がある。それでいて異国籍の我々にも多くのことを共感させ、考えさせることに成功している。
カメラワークが絶妙。色使いも絶妙。言葉少なに、登場人物の感情を我々に伝える技術はただただ脱帽。加えて、悲しみメインの愛憎劇にコメディ要素を盛り込む挑戦は、他の監督がやればただの駄作にしかならないだろうが、この監督(=Pen-ek Rattanarueang)の手に掛かれば見事「万事あれど人生」と捉えられるような前向きな作風に仕上がる。まぎれもなく、タイが世界に誇っていい映画。チュラ大(日本では東大にあたるタイ国立名門校)卒のサダオ役ギリヤゴン姉の演技は神がかり的。好きなシーンは、夫ペンを訪ねてバンコクまで行った際の歌唱場面。あのサダオの、嬉しさ、いとおしさ、懐かしさ等の感情が入り混じった演技は名演中の名演。