夢の果て―安房直子十七の物語
むかし、むかし、味戸ケイコという絵描きさんの描いた少女に,魅せられました。寂しそうで、はかなげな少女。また、あの少女に「夢の果て」で、出会うことができました。安房さんの世界も懐かしいです。
この本を開くと、もうとっくに失くしてしまった優しく暖かな気持ちに戻ることができます。
瞳に映るは銀の月―地上の園 (Pシリーズ)
ネタバレになるのでストーリーには触れないが、“Pシリーズ”で最高の大団円の巻でした。
このシリーズを読んだことがないという人に説明すると、
放射能で汚染された地上を逃れて地下都市で暮らす未来の地球では、
超能力者たちが「混乱させる者」“P”と呼ばれ迫害されているという設定だ。
この“P”たちの迫害と抵抗の歴史を描いているのがこの壮大な“Pシリーズ”だ。
SFファンにでなくとも一読をオススメしたい傑作マンガです。
きっと友人にも薦めたくなる作品となるでしょう。
なお、折角読むのでしたら、前作『瞳に映るは銀の月―妖精計画』も是非一緒にどうぞ。
そしてシリーズで最も長編の「夢の果て」ハヤカワ文庫JA(早川書房、全3巻)も。
夢の果て (3) (ハヤカワ文庫 JA (708))
自分が超能力者であるがために、身近な人々を喪ってきた主人公スロウ。
ようやくわかりあえた、超能力者ではない普通の人間である友人と恋人を
守るために、自分が犠牲になる決心をする…。
そして、密かに救い出した超能力者の仲間たちを助けるために、スロウは
さらに危険なところへ…。
そんなに自分をいじめないで…。あなたは、あなたにだって、幸せになる
権利はあるはずなのに…!
緊迫の最終巻。
小公子 (偕成社文庫)
ここの出版社の家なき娘が気に入ったのと、「完訳版」という言葉に釣られて購入。
挿絵を見て気付けば良かったのだが、何と言うか少女趣味なのである。
文体も妙な少女趣味なお上品さに思えた。
主人公の母親はアメリカの孤児で上流ではないはずだが一人称が「わたくし」なのは気どり過ぎで頂けない。
パパ、ママ呼びもなんだか気持ちが悪い。
この辺は好みの問題なので、表紙画が素敵と思った人には良いかもしれないが
私は訳者のセンスが好きになれなかった。
銀河鉄道の夜 (ホーム社漫画文庫) (MANGA BUNGOシリーズ)
少女漫画のキャラクターは苦手なのですが、
読み始めてすぐに、ささやかな嬉しいカットがあった。
活版所の賃金をもらって、うれしそうに駆け出す場面。
私が勝手に想像する程ジョバンニは悲観にくれているわけではなく、
目の前の喜びに素直に反応する男の子。
子供の健やかさがわかる、原作最終形態の中でも大好きな場面なのですが、
さらりとかわす作品が多いなかで、忘れずに描かれていました。
その他にも原作を忠実にトレースすることに専念した気配が全編に感じられます。
出版社や担当から無理強いされた訳ではない、
北原文野さん自身が「銀河鉄道の夜」をよく分析していることがわかる仕上り。
小さな文庫サイズが、繊細なタッチをより印象付け、
「カラーで見たい」と思わせるページも多数あります。
そして、感傷過多にさせない、潔いラストカットも見事。
絵柄に対して好き嫌いはあっても、
漫画家さんの真摯な仕事ぶりには、誰もが賞賛できるはずの佳作です。